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犬のぽんちゃんを助ける猫の保育士さん!べっぴん保護猫「にがりちゃん」涙の物語

2月は猫の月。2が“にゃん”に通じることから、365日猫を愛おしむ人たちにとっては、いつも以上に猫を想う月なのです。

その“猫月”を前に発刊された『わさびちゃんちのぽんちゃん保育園』(小学館)は、3年半前にSNSを中心に話題を呼んだ、カラスに襲われた子猫わさびちゃんにまつわるシリーズの第3弾。犬のぽんちゃんがかわいい子猫と触れあう写真を数多く掲載するフォトブックです。

その本の中で大きな反響を呼んでいるのが、大人になって保護された女の子猫「にがりちゃん」の物語です。

ハチワレ白きじのべっぴんさん、にがりちゃん。

ハチワレ白きじのべっぴんさん、にがりちゃん。

■お母さんを失い、頼りだった人も亡くなって…

にがりちゃんは、わさびちゃんちの父さんと母さんが数回に分けて保護した計7匹の子猫たちの母猫で、外で暮らす野良猫でした。

最後の4匹の子猫はまだ生まれたばかりだったため、母猫のにがりちゃんから引き離さず、母子ともにわさびちゃんちに保護されました。わさびちゃんちで育った計7匹のにがりちゃんの子猫たちは、わさびちゃんちに残ったあわび以外はみんな、それぞれ素敵な家族を見つけてもらって幸せに暮らしています。

今は正式にわさびちゃんちの家族となったにがりちゃんは、保護子猫たちを育てる「ぽんちゃん保育園」で園長先生の犬のぽんちゃんをアシストする保育士さんのような存在です。

そんな優しいにがりちゃんですが、実は生まれて2、3か月の頃にお母さん猫と離れ離れになり、ただひとり、小さな体で必死で生き抜いてきた猫でした。

にがりちゃんのお母さん猫が突然姿を消した理由はわかっていません。交通事故に遭ったのかもしれません。地域の住人の目撃証言によると、ひとりぼっちになったにがりちゃんは、それまでお母さん猫と一緒に通っていた餌やりのおじいさんの家の周りで鳴きながらお母さん猫を探し回っていたそうです。

■子猫といっしょに保護されたにがりちゃん

やがて餌やりのおじいさんも亡くなり、行き場も餌場も失ったにがりちゃんを見かねて、近所のおばさんがにがりちゃんに餌をあげるようになりました。

そうこうするうちににがりちゃんは妊娠、出産を繰り返すようになりました。でも、にがりちゃんが産んだ子猫たちは人にもらわれたり、交通事故に遭ったり、どこかにいなくなってしまったりして、残る子は少なかったようです。

そんなある日、わさびちゃんちの父さんと母さんに、にがりちゃんが産んだ子猫を保護して欲しいとの連絡が入ったのです。この時、相次いで保護したのががんも(ぽんちゃん保育園8期生)、おぼろ(9期生)、ゆば(10期生)の3兄弟でした。

その数か月後に再び同じ地域の人から要請があり、保護したのがあわびを含む4兄弟で、その時、にがりちゃんもわさびちゃんちに保護されたのです。

半年ほどして、わさびちゃんちがにがりちゃんを正式に家族として迎えたことを、餌をあげていたおばさんに伝えたところ、おばさんは泣いて喜んでくれたといいます。いろいろな経験をしたためか、餌をくれていたおばさんにもなかなか心を許さなかったにがりちゃんでしたが、おばさんはにがりちゃんを捕獲する際に使用した毛布を捨てられず、ずっと大事にとってあったそうです。

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わさびちゃんちの残ったあわびたち4兄妹と一緒に保護された母猫にがりちゃん。

■わさびちゃんちの保護子猫たちのお母さんがわりに

孤独だったにがりちゃん。避妊していない外暮らしの女の子猫の宿命で、何度も出産を経験し、自身が産んだ子猫とも離れ離れになってしまいました。授乳と育児に邁進していたにがりちゃんは保護された時にはガリガリに痩せた状態だったそうです。

今はわさびちゃんちでたくさんごはんをもらい、暖かい寝床に寝て、のびのびと日向ぼっこをしながら過ごすにがりちゃん。母性本能が強く、子猫を見るとお世話したくて仕方ない様子。

行き場のなくなった猫たちを不憫に思う気持ちは、誰にだってあると思います。でも、手を差し伸べるのにはそれなりの覚悟が必要です。にがりちゃんに餌をあげていたおばさんも、自分にできることとできないことの間で揺れ、にがりちゃんがわさびちゃんちの家族になった時にようやく、安堵することができました。

にがりちゃんは自分が産んだ以外の子猫も甲斐甲斐しく面倒を見てくれる。

にがりちゃんは自分が産んだ以外の子猫も甲斐甲斐しく面倒を見てくれる。

まだ父さんには、いまいち心を許していない様子のにがりちゃんですが、ちょっとずつ、にがりちゃんのペースで家修行中。それでもわさびちゃんちに保護されてくる子猫たちのことを本当の母親のように面倒を見てくれているのです。今ではすっかり、わさびちゃんちの頼もしい保育士さん。

猫の月、もし外で暮らす猫たちをみかけたら、それぞれの猫にそれぞれの「猫生」があるということに、思いを馳せてくれたらと願っています。

文/一乗谷かおり

【参考図書】
『わさびちゃんちのぽんちゃん保育園』
(著/わさびちゃんファミリー、本体1,000円+税、小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09343443

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わさびちゃんにまつわるシリーズの第3弾『わさびちゃんちのぽんちゃん保育園』(小学館)

■わさびちゃんファミリー(わさびちゃんち)
カラスに襲われて瀕死の子猫「わさびちゃん」を救助した北海道在住の若い夫妻。ふたりの献身的な介護と深い愛情で次第に元気になっていったわさびちゃんの姿は、ネット界で話題に。その後、突然その短い生涯を終えた子猫わさびちゃんの感動の実話をつづった『ありがとう!わさびちゃん』(小学館刊)と、わさびちゃん亡き後、夫妻が保護した子猫の「一味ちゃん」の物語『わさびちゃんちの一味ちゃん』(小学館刊)は、日本中の愛猫家の心を震わせ、これまでにも多くの不幸な猫の保護活動に大きく貢献している。

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