エンディングノートはすっかり馴染みのある言葉になり、関連書籍が本屋の一角を占めることも少なくありません。ご自身の死後に備え、「終活」を行なうことは、その意思を残すという非常に意義深いものです。

遺言書とエンディングノートの違いについて、ご存じでしょうか? 最大の違いは、その法的効力です。エンディングノートは自身の思いを生前に記しておくものですが、法的効力は持ちません。しかし遺言書は相続財産の分割の仕方など、一定の事項について法的効力を持ちます。

高い効力があるだけに、作成については様式などが厳しく定められており、間違いがあると無効になることもあります。遺言書を作成しようとした場合、誰に相談して作成を進めて行けばよいのでしょうか。

そこで今回は、日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士・中川義敬が、長年にわたる税務申告のサポートを通じて得た知識や経験に基づき、遺言書、特に公正証書遺言は、どういった人が作成しておいた方が良いのか、誰に相談すべきかについてご紹介したいと思います。

目次
遺言書を作成した方がいいのは、どんな人?
遺言書作成の相談先は、どんなところがある?
遺言書の作成を税理士に相談するメリットや注意点は?
まとめ

遺言書を作成した方がいいのは、どんな人?

遺言書を作成した方がいい人、といわれると「遺族が遺産分けで揉めるようなお金持ち」をイメージする人が多いでしょう。ところで、「遺言書を作成できる人・できない人」がいることにお気づきでしょうか? 遺言書の作成には、その作成者に意思能力が備わっていることが求められます。遺言書作成者がその内容を理解し、合理的な判断ができる状態であることが求められるのです。そうでない状態で作成した遺言書は、無効になってしまいます。

例えば認知症になってしまうと、「正式な遺言書を作成することは事実上できない」ということになるのです。その意味において、遺言書を作成した方がいい人というのは「ご家族のことを考え、ご自身の体調や体力の状況が把握できる元気なうちに作成しておきたい」という気持ちになった方がご検討を始めるべきといえるでしょう。

また、遺言書を作成することで下記のような効果を得ることも可能です。

・相続方法の指定ができる。

・遺産の分け方を指定することで、相続人同士のトラブルの予防になる。

・相続人以外へ遺産を渡すように指示ができる。

・相続税の対策を加味した財産分けができる。

是非、お元気なうちにご検討して頂きたいと思います。

遺言書作成の相談先は、どんなところがある?

遺言書作成の相談先として挙げられるのは、下記のとおりです。メリット・デメリットとあわせてご確認ください。

1:弁護士

法律の専門家で、信頼度は最も高いといえるでしょう。メリットは係争が起きてもそのまま代理人として対応・交渉が可能なことです。デメリットは報酬が高いことです。しかし、それなりの遺産があり、係争が想定されるような状況であれば事前相談も含めて、お願いしておくのがいいでしょう。

2:司法書士

登記の専門家ではありますが、法律・登記などの手続き面においては最も相続に即した専門家です。一定条件の下なら弁護士のように代理人になることも可能です。

メリットは、対応力の広さによるバランスの良さや、報酬面も含めたコストパフォーマンスの高さです。デメリットは、相続財産に不動産がないようなケースでの遺言書作成には不向きである、ということが挙げられます。

3:行政書士

書類作成の専門家です。メリットは上記の弁護士や司法書士よりもさらに報酬面では依頼しやすい価格設定になっていることが多いことです。デメリットは、係争関係では代理人になれないことが挙げられます。係争のない、一般的かつ小規模の案件で、遺言書の作成をメインに依頼したい方ならお願いされるといいでしょう。

4:税理士

税金の専門家です。相続時には相続税が発生することが想定され、その負担も考慮した遺言書の作成を依頼するなら、何といっても税理士でしょう。

メリットは遺言書作成から、相続税の生前対策、事業がある場合の承継相談、節税相談や納税資金相談、相続税の申告まで一貫して依頼できることです。また仕事柄、弁護士や司法書士と連携が取れていることが多く、相続に関する手続きを一貫して依頼することもできます。

デメリットは、行政書士同様、係争での代理はできません。また、相続に詳しい税理士が存外少ないため事前にリサーチが必要であるという点です。

5:信託銀行

普段から銀行とお付き合いのある方なら一度は紹介を受けているかもしれません。メリットとしては、遺言信託という商品を扱っており(※銀行によって呼称は異なることがあります)、遺言書の作成・保管・執行までを一括して依頼することができます。大企業の信頼性や倒産などを心配することのない永続性が最大の売りでしょう。

デメリットは、報酬が高いことと、係争があると遺言執行者になれない、といったことが挙げられます。相続の規模は大きくても係争の心配がないようなケースでは検討されてもいいでしょう。

遺言書の作成を税理士に相談するメリットや注意点は?

税理士に遺言書の作成をご相談される際の注意点としては、遺言書はもちろん、そもそも相続に強い税理士は数が少ないことです。遺言書作成や生前対策に対応しておらず、他所を紹介するだけという税理士も多くいるため、事前に対応可能かどうかをしっかり確認しておくことが必要です。

相続税が発生するなら税理士に相談するのがお勧め

その上で、遺言書の作成を税理士に相談するメリットは、やはり相続税が発生するようなケースでは納税を考慮した相談ができることが挙げられます。事前に財産を評価し、不動産や自社の株式の価値を知った上で遺産分けをし、誰に何をどのくらい渡すのか、詳細まで詰めた遺言書の作成が可能になるでしょう。ひいては相続人間の係争を未然に防ぐことにもつながります。

それだけでなく、二次相続(夫婦の一方、例えば夫が先に亡くなるのを一次相続、その後、あまり間を置かずに妻が亡くなること)を視野に入れた対策を講じることが可能です。

まとめ

遺言書作成の際に、相談すべきところとして、いくつかの専門家をご案内させて頂きました。ご依頼先を選ばれるに際し、注意点を挙げるとするならば、相続というものはいつ発生するか、誰にも想定することができません。それはつまり遺言書を作成していても、相続が起こって開封されるまでどれくらいの期間を経るのかわからない、ということを意味します。

したがって、少なくとも10年、20年後でも変わらず専門家の看板を掲げられる先、できれば法人として活躍されている先に依頼されると非常に安心だと思います。そういった前提のもとに、各専門家のメリット・デメリットを考慮して、相談されることをお勧めいたします。

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com

 

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