取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして子供について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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厚生労働省が2023年5月に発表した「2022(令和4)年国民生活基礎調査」によると、腹痛・胃痛に悩む人は16.2%(男性11.5%。女性20.6%)、下痢に悩む人は16.4%(男性17.9%。女性15.0%)いることがわかった。また、株式会社OMAPANが行った「お腹のトラブル」について調査(実施日:2024年2月7日、有効回答数:20歳以上50歳未満の男女全国6000人(10歳刻みに男女各1000人)、インターネット調査)では、「下痢しやすいですか?」との問いに対して「はい」と答えた人は男性39.2%(1177人)、女性32.6%(977人)となっている。
今回お話を伺った歩美さん(仮名・39歳)は、中学生のころに友人たちから無視されることが引き金になり、腹痛を伴う下痢に悩まされるようになる。母親に相談したことで一時症状は快方に向かっていた。【~その1~はコチラ】
就職活動での緊張から再び腹痛が始まり、大学を退学することに
緊張や悩み事に直面するとお腹を下すようにはなっていたものの、お腹が痛くなりそうなタイミングが歩美さん自身で把握できるようになり、大事に至ることはなかった。しかし、大学時代の就職活動で症状が悪化。緊張での腹痛から面接中に席を外してしまい、そこから面接に行くことが怖くなったという。
「その面接のときは生理で、どっちの腹痛かわからずに必死で我慢しているとお腹が鳴ってしまって、もうそこからは脂汗が止まらず、面接官もそんな私の姿に気づき、一時退席となりました。集団面接のときだったので戻ったときには話は進んでいて、私に対する質問は少なかったです。その会社はもちろん不採用でした。
そこから面接が怖くなって、学校の友人がどんどん内定をもらっていく中で決まらない自分が嫌になっていき、学校に行くのも辛くなっていったんです」
学校に行かなくなった歩美さんを心配した母親と一緒に、再び病院で腹痛のことを相談することに。多くの検査を受け、そこで過敏性腸症候群との診断を受ける。
「生活習慣の改善を目指しましょうと医師に言われ、そしてお薬をもらいました。下痢が続くと食事の量を減らしたりしていたものの、母親の協力もあってお腹に優しい食事をしていたのに、これ以上何を整えればいいのか、正直わかりませんでした。
薬を飲んで学校に行こうとしたんですが、朝には腹痛が起こるのに排便できないという状況になり、症状が改善したとは言い難い状況でした。
そしたら、心理的なものだろうと抗不安薬を処方されたんです。私は心の病気なんだって、そのときはショックでしたね。そして、母親もショックを受けていました。母親から『無理して大学に行かなくていい』と言われ、4年生に上がるタイミングで休学して、そのまま戻ることなく学校をやめました」
【母親が仕事を紹介してくれた。次ページに続きます】