3人で生きることを前提に、何がいいかを取捨選択した結果

2人は同じマンションで週に2日ほどのペースで一緒に暮らしていた。お互いの親は入籍しないことに納得しなかったことから妊娠中に親に頼ることはできなかった。しかし、そのことが2人の絆が強まるきっかけになったと振り返る。

「お互いの親は入籍しないことに大反対で、最後のほうには『一度入籍して離婚したらいい』とまで言っていました。そこまで世間体を気にしていたみたいです。私たちからしたら、世間体を優先してなんでそんな面倒なことをしないといけないのかと思ったし、入籍するかどうかは2人で散々話し合ってもう結論が出ていたことなので、まったく折れるつもりはありませんでした。そんな平行線のままお腹も大きくなり、体調も悪くなって会うことを私のほうから拒むように。このときに頼りになったのがパートナーでした。この人は味方なんだなって、強く思えました。親に頼れない子育てに不安はあったけれど、孤独はありませんでした」

亜美さんは無事子どもを出産。子育てに追われる中で入籍しようと考えたこともあったというが、具体的な話には進まなかった。それよりも、3人での快適な生活のために実用的な部分に注力していったという。

「子育てにバタバタしているときに入籍に関する手続きが単純に面倒臭かった。パートナーは本当に子どもが好きみたいで子育てを率先して取り組むような人で、産まれたときは今までで2人の仲が一番良かった時期でした。でも、世間話ぐらいの感じで『入籍してもなんとかなりそうだね』と言い合うことはあっても、どちらも具体的な話はしないまま、今に至ります。

今は別のマンションの同じフロア2部屋を借りています。3人でいるときもあれば、2人と1人のときもあります。子どもは小学生でどちらの部屋の鍵も渡しており、私に怒られたときは父親と過ごしていたり、調整しているようです」

亜美さんとパートナーは強い決意があって事実婚を選択したわけではなく、一緒にいることを前提にお互いストレスを抱えないことを優先しているように感じた。冒頭のアンケート調査では、「正式に結婚をしない理由は何か」の質問に対して男女ともに「なんとなく」「面倒くさい」という回答もあった。事実婚は世間からはまだまだ容認されにくく、その理由として「なんとなく」などの回答は「子どものためによくない」と非難されそうだが、周囲からの意見は所詮他人事。「なんとなく」事実婚を選ぶのも個人の自由ではないだろうか。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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