取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたこと、親について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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俳優同士が子どもを授かったことを公表したとともに事実婚を選択したことが話題を呼んでいる。
ノマドマーケティング株式会社では、40代から50代の独身男女を対象に事実婚についてのアンケートを実施(実施日:2023年1月12日、有効回答数:全国の40歳~59歳の独身男女1000人、インターネット調査)。事実婚を選択した理由では、男女ともに「結婚にこだわっていない・必要がない」との回答が多かった。次に、「現在、事実婚の状態にある」と回答した人に子どもの有無を聞いたところ、男性では約10%、女性では約20%がいると回答している。
今回お話を伺った亜美さん(仮名・43歳)は現在、子どもの父親と、子どもとの3人暮らしをしている。2人は婚姻届を出しておらず事実婚の状態だという。子どもは母親の性を名乗っている。
親族のせいで両親は別居に至った
亜美さんは大阪府出身で、両親と4歳上に姉、2歳下に弟のいる5人家族。父親には2人の姉がおり、ともに独身。亜美さんの姉と弟は伯母たちに懐いていたが、亜美さん自身は伯母たちにいいイメージはなかったという。
「伯母たちは遠回しにいつも母親をいびっていました。私たちの家は父方の祖父母が持つ敷地内にあって、近所には親族がたくさんいて、伯母は独身同士で2人暮らしをしていました。近所で暇だからか、伯母たちは頻繁に私たちの家に来ては子どもが喜びそうなお菓子やご飯を用意してきたり、おもちゃや服などをくれたりしていました。伯母は前もっての連絡もなくご飯を用意してきて、『好きなほうを食べな~』と言ってくる。そうなると母親のいつものご飯は人気がなくて。母親はなんとも言えない顔で自分の作ったご飯を食べていましたね」
この伯母たちの影響で、両親の仲は良くなかったそう。
「父親は寡黙な人で、誰に対しても何も言わない人でした。だから余計に私たちの家で伯母たちは好き勝手していた。嫁の立場である母親は伯母たちに強く言えないから、その不満をいつも父親にぶつけていました。母の怒りに対しても父親は聞くだけ。母親の中で父に言っても無駄だとわかったのか、いつからか両親は口をきかなくなりました」
現在両親は離婚はしていないものの、別居を続けている。その原因も伯母。リウマチの影響で上の伯母は手術をし、動作に時間がかかるようになったことで日常の世話をする人が必要になった。その役を亜美さんの母親が担わなければならなくなったのだ。最初はそれに従っていた母親だったが、限界が来てしまい、別居に至ったという。
「私でも嫌ですよ。散々いびられていた伯母の世話をしないといけないなんて。その頃には私たち子どもは全員一人暮らしや結婚をしていて、父親は仕事を言い訳に何もしなかった。両親の仲はもう修復困難なところまで行ってしまい、母親は離婚したいと言ったのですが、父親が認めてくれずに別居ということになりました。
その後、上の伯母は施設に入ることになり、下の伯母は元気だったものの家に一人きりの生活を続けていく中で弱ってしまい、下の伯母のほうが先に亡くなってしまいました」
【結婚よりもやりたいことがいっぱいあった。次ページに続きます】