取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたこと、親について、そして子供について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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未婚率の上昇が度々メディアで取り上げられている。令和2年の国税調査によると、男性の未婚者は1854万4千人(15歳以上男性の34.6%),女性の未婚者は1424万6千人(15歳以上女性の24.8%)となっている。
事実婚についての実数は明らかになっていないが、株式会社Omiaiが、行ったアンケート調査(実施日:(1)2023年8月22日・(2)2023年8月22日~23日、調査人数:(1)全国15~39歳の未婚男女600人、全国40〜79歳の既婚男女400人・(2)全国40~79歳の既婚男女400人、インターネット調査)では、事実婚について婚活世代では67.7%が、祖父母世代でも60.0%が肯定的な考えを持っていることがわかった。
今回お話を伺った真子さん(仮名・44歳)はパートナーの男性と付き合って8年、一緒に暮らして5年となるが、結婚の予定はないという。元々は結婚願望は強いほうだったものの、年を経るにつれて結婚にこだわらなくなっていった。【~その1~はコチラ】
婦人系の病気になったのは子どもを産まなかったから?
パートナーとの関係は良好に行っていた中、38歳のときに真子さんは子宮にがんになる前段階である腫瘍が見つかってしまう。子宮の一部を切除する手術だけで治療を終わることができたが、病気になったことに加え、さらにショックなことがあったという。
「母親から病気になったのは、『子どもを産むという子宮の仕事をちゃんとさせなかったからだ』と言われました。病気を告げた一言目にですよ。これが親からの本音ですよね。あぁ~こういう風に私のことをずっと見てきたんだなって思いました」
その後の親との関係に大きな変化はなかったが、心の距離は大きく広がっていた。特に婦人系の不調は絶対に相談しないと決めていた。
「私は周囲から同情されるのも嫌だったから、家族と彼にしか病気になったことを伝えていませんでした。だから同性で相談する相手は母親しかいなかった。でも、そんな母親からは女性として私は不合格だと言われましたからね。誰にも相談できずに抱えることが増えました」
【病気の娘に寄り添ってくれるパートナーは「ありがたい存在」に。次ページに続きます】