働かないと生活できないし、親のサポートがないと子育てできない
孫が歩かない時期のサポートはまだ楽だった。その後、長女は第二子を出産していて、先に生まれた子どもと長男の子どもはともに小学生に。長男の嫁は仕事復帰しており、孫のサポートという名の負担が恵さんにのしかかっているという。
「長女は夫から言われたのか、近所に引っ越した後はそこまで頻繁に来なくなっていました。夫は一度大きな病気をしたこともあって仕事を早期退職していて、やっとゆっくり2人の老後生活が始まるなって思っていたんです。
でも、長女が第二子を妊娠したこと、そして長男の嫁が仕事に復帰したことで孫の世話が何倍以上の負担になりました」
さらに最悪なことに、長女と長男の嫁はあまり仲が良くなく、恵さんを取り合いしている状況だという。
「長男の嫁の図々しさは今に始まったことではなく、彼女だった頃からあまり長女もよく思っていなかったみたいです。それでも結婚してからはお互い交流も少なかったからマシだったのです。
でも、長男の子どもの世話を私が手伝うようになってから、長女は『なんであいつだけ』とまた頻繁に私たちの家に来るようになりました。2人の孫を連れて……。
私は今年71歳、夫は78歳。孫の習い事の送迎のために免許の返納もできません」
厚生労働省が発表した「厚生労働白書」(令和3年版)によると日本全国における共働き家庭は68.8%。子育てに祖父母のサポートを希望している夫婦が多いのは、共働き家庭の割合を見ると当然かもしれない。日本の不況は働き世代だけでなく、孫を持つ世代への負担にも影響していることがわかる。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。