映画やテレビドラマなどで「お前の骨は俺が拾ってやる」というセリフをよく聞きます。日本では、亡くなった方のほとんどが火葬され、お骨上げ(おこつあげ)がなされます。亡くなれば骨になる、という事実は生前あまり気にするものではありません。しかし、亡くなった後は身近な人にとってこの骨こそが唯一、形あるものとして残ります。そして墓標のもとに大切に埋められるのです。

この記事では「納骨するタイミング」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。

もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。

目次
納骨とは
納骨式とは
納骨する場所
まとめ

納骨とは

一般的に日本では、葬儀のあと遺体を火葬し、お骨を拾って骨壺に納めます。一部土葬の風習が残る地域もありますが、現代では火葬が主流です。火葬して遺骨をお墓などに埋葬することを「納骨」といいます。

納骨する期限

日本の法律では、いつまでに納骨しなくてはいけない、という期限はありません。遺族が自由に、納骨の時期を決めて構わないわけです。納骨する形式や場所(お墓など)の有無、お墓とご遺族の住居の距離など、それぞれの事情に合わせて納骨時期を設定します。

納骨する際には、僧侶を招いて読経や焼香を行います。これを「納骨式」と呼んでいます。

納骨するタイミング

遺族の住居が遠方で、頻繁に来られない場合などは、火葬の直後に納骨される方もおられます。ただし、お墓など納骨する場所があることが前提です。一般的には、四十九日法要と合わせて行なう方が多いでしょう。ただし、お墓などの納骨する場所がないと、四十九日でも日程的に厳しいことも。

「お墓などの納骨する場所を決めてから」という場合は、百箇日法要、初盆、一周忌法要、三回忌法要などとあわせてされる方が多くなっています。

仏式以外の納骨

神式の納骨は「埋葬祭」といわれ、火葬後すぐか、仏式と同じく、忌明けとされる「五十日祭」のときにあわせて行なわれることが多くなっています。

キリスト教の場合、カトリックでは亡くなられた7日後の追悼ミサの翌日、8日目に行なわれることが多く、プロテスタントでは1か月後の召天記念日に合わせて行なわれることが多いものです。

納骨式とは

納骨式とは、納骨をする際に僧侶を招き、一連の儀式を執り行なうことをいいます。一般的な四十九日法要とあわせて実施する場合は、寺院や霊園などで四十九日法要を済ませ、その後に僧侶と共にお墓で納骨式を行ないます。

納骨式の準備

最初にいつ納骨式を執り行なうかを決め、寺院と霊園・石材店に連絡を入れます。石材店には墓石への戒名の彫刻と、遺骨を入れるために墓石の中にある「カロート」と呼ばれる容器を開いていただく必要があります。卒塔婆(そとば)を立てる場合は、寺院に先に依頼しておきましょう。新しいお墓の場合は、「開眼供養」も行ないます。

書類は「埋葬許可証」と「墓地使用許可証」を必ず準備してください。寺院や霊園に当日までに提出が必要です。

納骨式の流れ

四十九日法要など法要と合わせて行なう場合は、まず法要を済ませ、新しい墓石の場合は「開眼供養」を執り行ないます。納骨式の流れとしては、最初に遺骨をお墓に格納し、卒塔婆を立てる場合は、墓石の後ろに立てかけるようにしましょう。その後、僧侶の読経、参列者によるお焼香をすませ、お花や供え物をします。

四十九日法要と一緒に納骨式をする場合、納骨式の終了後、僧侶や参列者とともに「お斎(おとき)」といわれる会食をすることがあります。僧侶にはお布施とお車代、石材店にも謝礼をお渡ししましょう。

納骨式の費用

納骨式にかかる費用は、概算で10万円前後です。墓石に関する費用として、遺骨の格納作業(1万円から3万円)と戒名等の彫刻費用(3万円から5万円)が石材店に対してかかります。もしお墓がない場合は、新たに建てる費用として、別途100万円前後が必要です。

寺院と僧侶には、お布施(3万円~5万円)とお車代(5,000円~1万円)、卒塔婆の料金(1本あたり2,000円~5,000円)。別途法要を寺院や霊園、葬儀会館などで行なう場合は、御部屋代(1万円~3万円)が必要です。墓前へのお供え物として生前好きだった食べ物や飲み物、お花を供えます。供えるものによって金額は変わりますが、5,000円から1万円が相場です。

納骨式のあとの会食を行なうのであれば、別途食事代(5000円~1万円)が人数分必要です。また、僧侶が会食を辞退された場合は、お膳代(5000円~1万円)をお渡しします。

納骨式のマナー

納骨式に参列する場合の服装は、納骨式を執り行なう時期により変わります。四十九日より前に行なうのであれば、遺族は正喪服着用、参列者も準喪服を着用がよいでしょう。それ以降、三周忌までは遺族は正喪服か準喪服着用で、参列者は略式喪服となります。

納骨式での香典は、法要と同時に行なうのでしたら、法要の相場の金額を包みましょう。袋を2つ用意したり、金額を2倍で払ったりすることは縁起が悪いといわれています。

納骨式だけの場合は、関係性によって金額は異なりますが、両親の場合だと3万円~5万円、兄弟姉妹では1万円~3万円が相場です。祖父母や親戚の場合は、5000円~1万円。友人や同僚の場合も同様です。

納骨する場所

納骨する場所の多くはお墓ですが、それ以外の選択肢もあります。お墓以外の納骨場所について解説します。

お墓以外の納骨場所

お墓以外での納骨場所は大きく4種類あります。

永代供養墓

お寺や霊園が永続的に管理・供養してくれるお墓です。個別の墓石をつくるのではなく、骨壺のまま安置しますが、遺骨は一定期間後に、他の方の骨と一緒に埋葬されます。合祀墓と呼ばれ、個別のお墓を継承する必要はなく、コストも抑えられます。

納骨堂

室内型の遺骨安置所のことです。遺骨の安置の仕方によって、遺骨を仏壇にまとめておく「仏壇式」、棚に遺骨を収納する「ロッカー式」、倉庫のように機械でお参りスペースまで運んでくれる「機械式」などがあります。設備が高価なため、管理費用も高めの相場になっています。

樹木葬

樹木を墓標に見立て、遺骨を埋葬します。埋葬の仕方は、遺骨を容器や袋に入れて埋めるか、遺骨を細かく砕いて埋葬する方法があります。墓石代や管理する必要がないため、近年増えています。

海洋散骨

海洋散骨も近年増えています。それは、自然回帰への願望や、少子化問題価値観の多様化など様々な要因があります。ただ、どこに散骨してもいい、というわけにはいきません。条例や規制があり、守るべき事項はたくさんあり、業者に依頼するという手段もあります。

納骨しない

火葬をしてから納骨するまでの間、骨壺に入れた状態で自宅に安置します。この状態で納骨せずに自宅で供養することも可能です。埋葬する場合は、限られた場所でしか法律上はできませんが、埋葬する期限は定められていません。注意する点は、湿気と結露などの保管状態の管理と、最後どうするかという問題が出てきます。ご自分の身体がいうことをきかなくなった場合に、遺骨をどうするかは決めておかなくてはなりません。

まとめ

葬儀から火葬までの選択肢はそれほどありませんが、納骨には多くの選択肢があります。ご自分が亡くなった時にどうしたいのか? ご両親はどうしたいか? 子どもたちは? 

ご先祖のお墓がある場合も、近年は少子化で管理することが難しくなっています。そういったことも含めて、生前に決めておくことが重要です。

●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com

京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。

●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB

 

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