葬儀のお供えは、祭壇に彩りを添え、故人を慕い、偲び、感謝する贈り物。お供えには、遺族が用意するものと、参列者が贈るものがあることをご存知でしょうか? いざ、葬儀の時に何を贈ればいいのか、あるいは何を用意すればいいのか困らないように、事前に知っておきましょう。

この記事では「葬儀での供物」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。

もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。

目次
供物とは
供物を贈る場合
供物のマナー
まとめ

供物とは

供物(くもつ)とは、神仏に供えるもののことです。神に供えるものを「神饌(しんせん)」といい、仏に供えるものを「仏供(ぶく)」といいます。お供えすることによって、故人やご先祖様への感謝の気持ちと遺族への弔意を表わし、「お供え物」という呼び名の方が一般的です。

仏教におけるお供え物

宗派によって多少の違いはありますが、仏教におけるお供え物は、五供(ごくう)に基づいています。五供とは、「」「」「灯明(とうみょう)」「」「飲食(おんじき)」のこと。

毎日拝むための仏壇は、この五供を元に作られております。

・香は、お線香を立てる「線香差」や、香を焚く「香炉

・花は、花を飾る「花立

・灯明は、ろうそくを立てる「火立

・水は、お水やお茶を入れる「茶湯器

・飲食は、炊き立てのご飯を入れる「仏飯器」、お菓子などを置く「高月

お供え物をするタイミング

仏壇には毎日お供え物をして、手を合わせ、ご先祖様や身近な故人に、日々の感謝を伝えるものです。また、葬儀の際には祭壇に、法要の時には仏壇横にお供えをします。

葬儀におけるお供え物

葬儀では、祭壇の脇にお供え物を置きます。葬儀のお供え物を「供物」と呼び、供物は宗教や地域によって多少内容が異なりますが、仏教では一般的に「盛篭(もりかご)」でお供えすることが多いです。盛篭には果物や缶詰、お菓子、線香やろうそくなどが入っていて、造花で飾りつけられた籠に盛り付けられています。

神式では神饌物をお供えする「献選」がなされます。神饌物には線香やろうそくはなく、お米や果物、海鮮物や乾物などが供えられます。また、お酒は「お神酒(おみき)」といって神聖なものですから、お供えには欠かせません。

キリスト教の祭壇では、お供え物という概念がありません。その代わり、生花を贈る習慣があり、籠にお花を入れた「バスケットフラワー」を供えるのが主流となっています。

供物を贈る場合

葬儀の際に供物を贈る場合は、必ず事前に遺族に確認をしましょう。場所の問題などで、お断りされる場合もあります。また、祭壇に飾る順番や、見た目の統一性を考えると、葬儀会社を通じて注文する方がいいでしょう。

供物を贈るタイミング

供物を贈るタイミングは、どんな時でしょうか。それぞれのタイミングについて見ていきます。

訃報を知った時

ご自宅にお線香を上げに行く場合や、お通夜や葬儀に参列する場合などがあります。また、遠方などの場合は、供物を郵送で送ることも。

忌日法要や回忌法要

四十九日法要、一周忌、三回忌などの法要の時などです。

行事のある

お彼岸やお盆などの行事や、命日など。

供物の種類

仏教では、仏教としての守るべきルールに「五戒(ごかい)」というものがあります。その中に「不殺生(ふせっしょう)」という教えがあり、あらゆる生き物は殺してはならない、というものです。供物の食べ物は、お肉や海産物ではなく、果物やお菓子、落雁、缶詰など。他に、線香や抹香を供えます。宗派によっても、お供えするものは変わります。

神式では、生き物は神の恵み、という捉え方をしますので、海産物などもお供えできます。また、お酒は神聖なものと考えられていますので、お供え物としては欠かせません。他には仏教と同じように、果物や缶詰、干菓子などを供えます。

キリスト教では、祭壇にお供えを飾る習慣はありませんので、供物は不要となります。

供物の相場

仏教において、一般的な盛篭の相場は、一基10,000円から20,000円ですが、小ぶりなものであれば5,000円前後からもあります。

供物のマナー

供物を贈る時のマナーについて見ていきましょう。

香典は必要か

友人同士や、会社などの仲間など、複数人の連名で供物を贈り、個人的には香典をするということがあります。特に故人と親しい場合などは、香典も供物も両方して問題はありません。

遺族が辞退している場合

近年、家族葬や通常葬儀でも、香典を辞退される場合が多く見受けられます。葬儀の案内で「ご厚志を辞退申し上げます」と書かれている場合は、香典に限らず、供物や供花も同じ意味です。遺族が辞退されている場合は、遺族の気持ちを尊重して供物は控えましょう。

供物を選ぶ時の注意点

お供え物をする時、葬儀会社などに注文すれば、地域の特性や一般的なマナーを守ってくれるので安心です。ところが、法要などで持参する際には、気をつけなければならない点があります。

供物の数は奇数

果物など、はっきりと個数がわかるものは、奇数にしましょう。偶数は割り切れる数のため、「故人と縁が切れる」とされるためです。また、4や9という数字は、「死」や「苦」を連想させるため、使わないように気をつけましょう。

腐るものや匂うものはやめましょう

早くいたんでしまうものや、匂いのあるものも控えましょう。また、お菓子でも日持ちのする焼き菓子などを選びます。

まとめ

仏教において、お供え物は欠かせないもの。仏壇に毎日お供えをして手を合わせる。葬儀には供物を贈り、亡き人を偲び遺族への弔意を表す。お供えをすることで、日々生きて暮らすことへの感謝につながるのではないでしょうか。

●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com

京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」の時、安心してお任せいただけるのが公益社です。

●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB

 

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