葬儀後の手続きでは、書面に故人の名前を書くたびに、故人の存在が消えていくような、何ともせつない思いをされたという方も多いのではないでしょうか?

しかし、いつまでも感傷に浸ってはいられないほど、葬儀後の手続きはたくさんあります。また、期限があるものも多く、いったい何からやればいいのか、途方に暮れてしまうものです。

この記事では「葬儀が終わったらやるべきこと」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。

もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。

目次
葬儀が終わってからやることの優先順位
社会保険料の受給停止手続き
死亡時受給の手続き
税金に関する手続き
医療費などの手続き
まとめ

葬儀が終わってからやることの優先順位

葬儀が終わると、しなければならない手続きが様々あります。そもそもどんな手続きがあるのでしょうか? 提出先別に期限のあるものを整理していきましょう。

手続き期限があるもの

【市町村役場の窓口】

14日以内

・介護保険資格喪失届
・住民票の抹消届および世帯主変更届
・国民健康保険の脱退

2年以内

・国民健康保険の葬儀費用請求
・国民年金の一時死亡金請求
・高額医療費還付請求

【年金事務所か年金相談センター】

14日以内

・年金受給権者死亡届(厚生年金は10日以内)
・厚生年金の遺族厚生年金請求

【ハローワーク】

1か月以内

・雇用保険受給者資格者証の返還

【税務署】

4か月以内

・所得税準確定申告、納税

【生命保険会社】

3年以内

・生命保険の一時死亡金請求

死亡届の提出

死亡届は、一般的には葬儀前に手続きをしますが、期限のある手続きのひとつです。手続き期限は、亡くなったことを知ってから7日以内国外に居る場合は3か月以内。手続きには、医師の死亡診断書(もしくは、警察の死体検案書)が必要です。火葬の際に必要な「火葬埋葬許可書申請」を同時に申請します。

相続に関して

故人の資産が相続対象になる場合は、相続の手続を行なわなければなりません。申告期限は相続開始を知ってから10か月以内。相続の放棄をする場合は、亡くなったことを知って から、3か月以内に家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。

遺言書がある場合は、家庭裁判所において「遺言書の検認」が必要です。検認には約1か月の時間を要します。検認が完了しないと、相続手続きも相続放棄手続きも出来ませんので、それぞれの手続きは平行して進めましょう。

社会保険料の受給停止手続き

故人が社会保険料の受給をしている場合、受給の停止手続きをします。こちらはそれぞれ手続きの期限がありますので注意しましょう。

年金受給権者死亡届

故人が年金を受け取っている場合、速やかに提出し、手続きを行ないます。提出期限は、国民年金は亡くなってから14日以内厚生年金は10日以内です。届け出には、年金証書と死亡の事実を明らかにする書類(戸籍抄本、死亡診断書のコピー、または死亡届の記載事項証明書)が必要となります。

介護保険資格喪失届

故人が65歳以上、もしくは、40歳以上65歳未満で要介護認定を受けている場合、介護被保険者の返却をします。期限は亡くなってから14日以内。手続きは住所地の市町村役場の窓口です。必要書類や提出の窓口は市町村によって異なりますので、それぞれの市町村でご確認ください。

雇用保険受給資格者証の返還

故人が雇用保険の受給を受けている場合は、雇用保険受給資格書を返還します。期限は亡くなってから1か月以内。受給を受けているハローワークに、受給資格証、死亡診断書、住民票などを提出します。

死亡時受給の手続き

故人が受けていた社会保険等の給付金を止める一方で、亡くなることによって、受け取ることができる給付金の請求手続きもあります。

生命保険の死亡給付金の請求

故人が死亡保証付きの生命保険に加入している場合は、生命保険金の請求手続きが必要です。期限内に生命保険会社に問い合わせて、手続きを完了しましょう。故人と受取人の契約関係や金額によっては、相続税の対象資産になります。あわせてご確認ください。

遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求

故人によって生計を維持されていた場合は、遺族年金の請求を行ないましょう。遺族年金には3種類あります。国民年金加入者による「遺族基礎年金」と、厚生年金加入者による「遺族厚生年金」、労災保険加入者が職務中や通勤途中での事故で亡くなった場合の「遺族補償年金」です。それぞれ受け取る条件があります。自分がどれに該当するのかを確認して申請しましょう。請求から受け取りまで早くても4か月はかかりますので、早めの手続きが必要です。

税金に関する手続き

故人が生きていた間に所得があった場合は、遺族が故人になり代わり、確定申告を行ないます。これを所得税の「準確定申告」といいます。また、葬儀にかかった費用は、相続税での控除が可能です。

所得税準確定申告

遺族は亡くなった日から4か月以内に、故人の確定申告と納税を行なわなければなりません。亡くなった年の1月1日から確定した故人の所得金額と、税額を申告します。1月1日から3月15日までの間に亡くなった場合は、前年度の故人の確定申告も必要です。

相続税における葬儀費用の控除

葬儀費用は大きな金額になりますが、喪主の確定申告では控除対象にはなりません。ところが、相続税は葬儀費用を控除することが可能です。控除対象については、葬式に関する費用はおおむね対象となります。ただし、香典が非課税なので、香典返しの費用は控除対象にはなりません。

医療費などの手続き

多くの場合、医療に関わりながら死を迎えることが多いですが、その際にかかった医療費の控除や、入院費や治療費など高額療養費については払い戻しが可能です。

入院費や治療費の医療費控除の手続き

故人が支払った医療費に関して、年間を通して10万円を超えている部分は、準確定申告にて、医療費控除が行なえます。また、亡くなった後に支払った故人の医療費は、支払った人が故人と生計を一にしている場合であれば、確定申告での控除が可能です。

高額療養費払い戻しの申請手続き

高額療養費制度とは、医療機関や薬局窓口で支払う医療費が、1か月の間で一定の上限額を超えると、超えた分を払い戻しできるものです。故人が亡くなった後に支払った金額によって、高額療養費制度に該当すれば払い戻しができます。相続放棄していても申請することは可能です。

国民健康保険の葬儀費用請求

国民健康保険加入者が亡くなった場合、葬祭を行なった方(喪主)は、葬祭費の請求が可能です。自治体によって、手続き方法や金額は異なります。請求期限は、亡くなってから2年以内です。

まとめ

役所への書類の提出はルールが複雑でわかりにくいものです。今回解説したもの以外にも名義変更手続きや、身の回りのものの整理や、法要など、他にもやるべきことがたくさんあります。大変ではありますが、故人との繋がりを感じることができるのかもしれません。

●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com

京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。

●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB

 

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