シスターフッド(女性同士の連帯)を描いた映画やマンガがヒットし、女性同士の友情が注目されている。しかし、現実は、うまくは行かない。これは女性の友情の詳細をライター・沢木文が取材し、紹介する連載だ。

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「ルッキズム」という言葉をよく目にする。これは外見重視主義のことで、「外見がその人の価値を測る重要な要素」とする考え方を指す。確かに、容姿がいい人は恋愛のみならず、就職や仕事でも有利なように感じることもある。労働経済学の世界的な権威であるダニエル・S. ハマーメッシュもその著書『美貌格差: 生まれつき不平等の経済学』で、「見た目で生涯年収の差は2700万円」と書いており、なんとなく実感できるという人も多いのではないか。

「美人でも得するとは限らない。男の欲望の対象として目立ってしまうから」と話すのは、神奈川県に住む奈津さん(59歳)だ。「幼なじみの美樹とちょっとあって……」と語りはじめた。

小学校5~6年生なのに、宴席に呼ばれる美貌

奈津さんには、美樹さんという親友がいた。幼稚園から中学校卒業まで仲良く過ごし、奈津さんは地元の商業高校に進学。美樹さんは親戚を頼って東京の女子校に行くも中退。しばらく音信不通だったという。

「美樹は幼いころから美人で有名でした。私たちの地元は、都心から一時間半くらいかかるところで、神奈川県といっても、横浜とか鎌倉などとは全然違う。畑が広がっていて、今では町は高齢者だらけ。駅前のショッピングセンターや国道沿いのコンビニが次々とデイサービスになっているような町です」

地元で美樹さんはとても目立っていたという。小学校高学年で、すでに男性の目を引くような色気があり、地元の“おじさん”たちは色めき立ち、その妻たちは眉をひそめた。

「当時、“子供は大人の言いなりになるもの”という感じだったんです。親は子に手を上げるのは“しつけ”とされていましたから。小学生の美樹は親に命令されて、地元のお祭りに駆り出されていました。私たちが子供神輿をかついでいるときに、宴席にいて男性のお酌をさせられていました」

奈津さんは美樹さんから「おじさんにお尻を触られるのが嫌だ」と言われたこともあった。

「子供はどうすることもできません。美樹が触られたと言われる胸やお尻を、私は“消毒してあげる”と、パンパンと払ったことが度々ありました。そこは小学5~6年生とは思えないくらいプリッとしていて、私もドキドキしたことを覚えています」

中学生になると、美樹さんはおじさんの操縦法を心得ていたという。

「たぶん、今でいう援助交際のようなことをしていたんだと思います。美樹は父子家庭で、貧乏でした。小学校のときは汚れた服を着ていたし、制服だってお古だった。それなのに、あるときからお金を持ちはじめた。誰よりも早くウオークマンを買ったのも美樹です。ウチの親が“美樹ちゃんとは付き合うな”と言い始めたのは中2ごろだったかな」

【高校に進学してから、一時期音信不通に……次のページに続きます】

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