取材・文/沢木文

「女の友情はハムより薄い」などと言われている。恋愛すれば恋人を、結婚すれば夫を、出産すれば我が子を優先し、友人は二の次、三の次になることが多々あるからだろう。それに、結婚、出産、専業主婦、独身、キャリアなど環境によって価値観も変わる。ここでは、感覚がズレているのに、友人関係を維持しようとした人の話を紹介していく。

奈緒さん(仮名・62歳)はある俳優の「推し活」で知り合った朋美さん(59歳)に手ひどく裏切られて、心身の状態を崩しているという。

娘のすすめで始めたSNSで、世界が広がった

奈緒さんは28歳で結婚して以来、ずっと専業主婦をしてきた。商社勤務の夫の海外駐在への同行、2人の娘の子育てもあり、「働きたくとも、時間がなかった」からだという。

「2年前に、主人が亡くなってしまったんです。仕事が大好きで、飛び回っている人でした。コロナの自粛期間中は、本当に元気がなくなっていました。そんなとき、病気(すい臓がん)が見つかって、あれよあれよという間に悪化して、気づけばこの世から旅立っていました。まだ65歳でした」

当時は最期にも立ち会えず、ろくに葬式もできなかった。

「だから主人がこの世にいないことが受け入れられなかったんです。毎日、泣いてばかりいたら、同居する上の娘(33歳)がSNSのInstagram(インスタグラム/以下・インスタ)を勧めてくれたんです」

なんのことだかわからず始めたインスタに、奈緒さんは夢中になる。ハッシュタグで検索をすると、同じように夫の死がつらい人とつながることができ、自助グループにも参加できた。そのほかにも、料理のレシピ、掃除のコツ、行きたい場所など、あらゆる情報がそこにあった。

「昔好きだったアイドルの現在の暮らしぶりがわかり、そこにコメントをつけると、ご本人から返信があったりして、夢のようなツールだと思いました。また、インスタは私が好きそうなものを自動的に表示してくれる。そこで私はある俳優を好きになってしまったのです。顔が亡き主人の若い頃に似ていて、優しい雰囲気の人で、夢中で出演作を観て、インスタに書き込みました」

元気を取り戻した奈緒さんのことを、娘は大喜び。その俳優が出演する舞台のチケットも手に入れてくれた。

「インスタって、3か月もやっていると、なんとなく人間関係ができてくるんです。リアルに会わなくても、投稿内容を見て“この人と合うな”ってわかるんですよね。そこで、私がよくイイネをつけたり、コメントをつけたりしている人が、同じ舞台を観ることがわかり、会うことにしたんです。それが朋美さん(59歳)でした」

朋美さんは奈緒さんの自宅と近いエリアに住んでおり、家族構成も似ている。

「お会いしたいと思っていたこともあって、観劇の後にお茶の約束をしたんです。実際にお会いすると、朋美さんはおしゃれで心も豊かでステキな方で……主人が亡くなってからおばあちゃんになってしまった自分が恥ずかしく、おしゃれにも気を使うようになりました」

【ファンのミーティングにも顔を出すようになり……次のページに続きます】

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