身内との辛い別れのあと、残された者たちが願うことは、「無事に極楽浄土にいってほしい」ということ。七日ごとに訪れる、来世への裁判を経て、無事に四十九日を迎えられることを願い、ついにその日がやってきます。極楽浄土に旅立つ日です。
忌明けの挨拶は、生前お世話になった方々にお礼をする最後の機会です。故人が無事に極楽浄土に行けた感謝を、心を込めて伝えましょう。
この記事では「忌明け挨拶状」について、京都・滋賀で80年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。
その日の時のために、この記事をお役立てください。
目次
忌明けについて
忌明け挨拶状
忌明け挨拶状の文例
まとめ
忌明けについて
仏教では「忌中」の期間は、亡くなられた日から数えて49日です。49日目に来世に向かわれるとされています。その日以降が「忌明け」となります。また、神道では50日目に「五十日祭」という霊祭が開かれ、その日以降が「忌明け」となります。
忌明け挨拶状とは
「忌明け挨拶状」はご葬儀に参列いただいた方や、香典、供花、供物をいただいた方に無事に忌明けを迎えたことを知らせるとともに、弔意へのお礼を改めて示すためのお手紙です。
一般的には、香典返しの品にこの忌明け挨拶状を添えて送ります。ただし、香典をいただいていない場合は、挨拶状だけを送っても全く問題ありません。
弔意へのお礼の最後の機会となります。「送っておけば良かった……」と後悔されないようになさってください。
忌明け挨拶状
忌明け挨拶状は、一般的に香典返しと一緒に送ります。タイミングとしては、四十九日の忌明け後すぐに、手元に届くように手配するのが望ましいでしょう。
忌明け挨拶状とは
忌明け挨拶状をお送りする目的としては、
1. 葬儀参列に対するお礼
2. ご香典を頂いたことに対するお礼
3. 忌明け法要を無事終えた報告
4. 香典返しのお届けのお知らせ
5. 本来なら直接訪問すべきところを略儀で済ませる事へのお詫び
となります。
これらを踏まえて文章を書くことになります。
ただし、香典返しを葬儀当日にお渡しする場合や、香典を辞退している場合などで香典返しがなくても、忌明け挨拶状だけを送る場合もあります。その場合は、忌明け法要を無事終えた報告と参列のお礼だけとなります。
忌明け挨拶状はどうやって書く?
忌明け挨拶状は、奉書紙の巻紙形式のものから、簡易的なハガキやカード形式のもの、のし一体型のものなどがあります。一般的には奉書紙の巻紙形式のものが、一番格式が高いとされています。送る場合は、折りたたんで奉書紙の封書に入れて送ります。はがきやカード形式のものは、略式挨拶状といわれています。こちらも奉書封書に入れて送りましょう。
忌明け挨拶状書き方のルール
忌明け挨拶状は縦書きとなります。文面に句読点は使わないようにしましょう。その代わりに、ひと文字分のスペースを空けるようにします。また、通常のハガキなどにあるような時候の挨拶はなくても問題ありません 。
毛筆が本来の書き方ですが、筆ペンやサインペンなどでも構いません。色は黒で書いてください。薄墨も地域によっては使うところもあるようです。
忌明け挨拶状の送り方
巻紙の場合は縦に三つ折りにします。紙の左端から右端に向かって文面を内側に巻いていき、端がぴったりと合うように軽くつぶします。香典返しと挨拶状を一緒に送る際は、のしの下に挨拶状を入れてその上から包装紙をかけます。
ハガキだけで送る場合、切手の貼り忘れだけは十分に注意してください。カード式のものは必ず奉書紙の封筒を用意して中に入れてください、表書きに「挨拶状」と書きましょう。封筒は白封筒一重のものを選びましょう。二重封筒は縁起が悪いとされています。
香典返しと一緒に送る場合は、巻紙をはじめ、ハガキやカードに印刷してくれるところも多いです。また、挨拶状を手配してくれる葬儀会社もあります。公益社もその一つです。
忌明け挨拶状の文例
宗教によって挨拶状の内容は異なりますが、ここでは仏式の具体的な文例で解説します。
一般的な文例(香典返しとともに送る場合)
次の文例は、香典返しと共に送る一般的な挨拶文です。本来は縦書きですが、画面構成の都合上、横書きで示します。
謹啓
先般 亡父 〇〇〇〇儀 葬儀に際しましてはご多忙中にもかかわらずご懇篤なる御弔意を賜り 心より厚く御礼申し上げます
お陰をもちましてこの程 四十九日の法要を滞りなく相営みました
つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたので 何卒御受納くださいますようお願いします
早速拝眉の上親しくお礼を申し上げるのが本意ではございますが 略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
謹白
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇市〇〇〇町〇〇―〇
〇〇 〇〇
お返しを寄付した場合の文例
葬儀の段階で、故人の遺志で香典返しを寄付することが決まっている場合は、必ず会葬礼状にも書き記しておきましょう。本来は縦書きですが、画面構成の都合上、横書きで示します。
謹啓
先般 亡父 〇〇〇〇儀 葬儀に際しましてはご多忙中にもかかわらずご懇篤なる御弔意を賜り 心より厚く御礼申し上げます
お陰をもちましてこの程 四十九日の法要を滞りなく相営みました
誠に勝手とは存じますが ご芳志の一部について故人の遺志により 財団法人○○へ寄附させていただきご返礼と代えさせていただきました
何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます
つきましては 早速拝眉の上親しくお礼を申し上げるのが本意ではございますが 略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
謹白
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇市〇〇〇町〇〇―〇〇
〇〇 〇〇
まとめ
忌明け挨拶状は、故人が生前お世話になった方々への、弔意に対するお返しの最後の機会。本来なら、おひとりおひとり毛筆で奉書紙に気持ちを込めて書いて送るものです。そういうことが理想ではありますが、書く時間がない、毛筆には自信がないなどの場合、ハガキやカードへの印刷も検討してみましょう。
●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)
京都・滋賀で80年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。
●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB)