取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺ったひかるさん(仮名・42歳)は25歳のときに結婚して、現在は夫と別居中で子どもと2人暮らしを続けている。別居の原因は夫の浮気。それでも別居当初はやり直す気持ちのほうが強かったというが……。
「浮気が発覚した当初は私自身すごく不安定になり、しばらく実家に帰っていたんです。そこからまた3人で暮らし始めたのですが、やっぱりしばらく離れようとなって今に至ります。お互い離婚を考えずに、もう一度やり直すための前向きな別居だったんですけどね。義家族のせいで……」
血のつながらない父は今も私を大切にしてくれている
ひかるさんは京都府出身で、両親と8歳下に妹のいる4人家族。妹とは父親が違い、今の父親は、母親の再婚相手だと振り返る。
「実父のことはまったく覚えていません。私が幼稚園に通っていた頃に母は今の父と再婚したので、私の中での父親は今の父だけです。妹が産まれたときに疎外感みたいなものを感じたこともあったのですが最初だけ。父は私のことも十分にかわいがってくれました。
妹もかわいくて、昔から今もずっと仲はいいです。ここまで年齢が離れているとケンカにもならなくて、わがままを言われてもかわいいと思ってしまいますからね」
そんなひかるさんと良好な関係を築いている父親だったが、母親との仲は10年以上前に破綻。両親は離婚するも、父親とは関係が続いているという。
「両親が離婚したのは私が30歳を超えた頃なので反対はしていませんが、これで私と父の関係はなくなってしまうかもしれないと寂しい思いはありましたね。でも、実の子ではない私と妹を差別することなく、今も親子関係は続いています。定期的に連絡を取り合って、孫を見せに行ったりしていますね。父は母親と違って小言をあまり言ってこないので、妹と久しぶりに会いたいときは父の家で待ち合わせて、そのまま家でお茶をしています。父は孫とも喜んで遊んでくれますからね」
【彼の父親の葬儀では親族席に。次ページに続きます】