取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った友理奈さん(仮名・42歳)は38歳のときに小学校からの幼馴染の男性と結婚して、現在は夫婦で暮らしています。この幼馴染という近い距離感は旦那さまだけでなく、義両親にも感じているそうですが、親しみと失礼の狭間でもやもやしていると訴えます。
「幼馴染といっても高校生のときから長くは付き合ったのですが、その後一度別れていて。結婚の1年前に再会して結婚に至りました。ずっと一緒にだったというわけではないので、私の中では子どもの頃と大人になってからで義両親に対する接し方はまったく異なるものなのですが、義両親はそうではなくて……」
ご近所さんの評判はイマイチも家族は仲良し
友理奈さんは大阪府出身で、両親との6歳上に兄のいる4人家族。お酒が好きで、少しルーズなところがある両親だったものの、友理奈さんはそんな両親のことが大好きだと語ります。
「母親は専業主婦なのですが、学校行事にも寝坊してきたり、お弁当が用意されていなかったりとルーズで抜けているところが多々ある人で、そのおかげで私はとてもしっかりしました(苦笑)。小学生の何年生からかは覚えていないのですが、新学期に用意しないといけないものは自分で買っていた記憶が残っています。必要なものをリストにして、買ったものに自分の名前を書いて、雑巾なども自分で縫っていました。お弁当もいつからか前日の晩御飯のおかずを先に取っておいて、朝に卵焼きとウインナーを足すなど自分で用意していましたね。
一方の父親も急に仕事を辞めてきて、数か月何もせずに家にいたことがあったり、いきなり友人が仕事を紹介してくれたからといって半年ほど帰って来なかったり……。夫婦でパチンコに行って、私たちのご飯がまったく用意されていないこともありました(苦笑)。でも、両親とも『なんとかなる』の精神の持ち主で基本明るくて。私自身も、自分がしっかりすれば両親はこんな感じでいいかと、いつからか考えるようになっていました(苦笑)」
しかし、そんな友理奈さん家族はご近所にはあまりいい評判ではなかったとのこと。それにはお兄さんが関係していたと言います。
「兄がちょっとだけ悪い人たちとつるんでいたんです。高校に一度進学したんですが、すぐに行かなくなって中退。その後家にもあまり帰って来なくなった時期もありました。そんな兄の評判が家は公団住宅だったんですが、広まって挨拶してくれない人もいました。そんな兄でしたが、家で口を聞かなくなった時期は2年ほどだけ。家で暴力を振るうこともなかったし、ちゃんと働いて家にお金も入れていました。でも、見た目がチャラチャラしていてそれがね……。基本家族は仲良しだったので、中学生を過ぎた頃にはあまり気にならないようになっていましたね」
【学生時代の交際に親の関与は当たり前だった。次ページに続きます】