夫が愛の証として求めた、重すぎる烙印
予想通り、濃厚なコミュニケーションをスタート。車から声も聞こえたので、動かぬ証拠になります。夫の「愛している」という声。そして女性の「あんなババアとは離婚しなよ。でも遺産もらえるかもね」などと言っている音声も録音。あっさり証拠がとれてしまい、こちらも拍子抜け。
夫はそれから、コンビニに行き、トイレを借りつつ、温かいお茶とおにぎりを購入。夫が車に帰ると、女性もコンビニに行き、トイレを借りた後に、スナック菓子とクッキー、牛乳、納豆、豆腐を購入していました。
深夜3時で酔いもさめたのでしょう。女性が運転し、夫を武蔵野市の自宅まで送り、マンション前でキス。それから女性は立川市内にある真新しい建売住宅に入っていきました。この家は、明らかに子供がいる。
この家を張り込んでいると、朝6時に作業着を着た男性が家を出て駅に向かいます。朝9時に女性と男の子が出て来て、男の子は保育園へ。女性は近くの工場に入っていきました。これは明らかに女性の家族です。依頼者・春奈さんに「女性も調べますか?」と聞くと、「これ以上はいいです」と返事が。
以上の報告をすると、手で顔を覆い、「もう、離婚しかありません」と言っていました。
「この女性はタトゥーを入れたんですね。私も結婚するときに“愛の証でしょ。おそろいで入れてよ”と言われたんですが、どうしてもそれはできなかったんです。私にはタトゥーは重すぎる。親は泣くでしょうし、ウチの会社はタトゥーを許していませんし、私も生理的に無理。それに夫はがっかりしていましたが、でもこの女性は自分の子供がいても、夫がいてもいけたんですね」
夫と離婚に向けて話し合いをすると、「春奈は俺のこと、愛していなかったでしょ」と言われたそう。
「夫は私のコンプレックスも年齢もすべて受け入れたのに、私はそうしなかったと怒られました。この女性は地元福岡の後輩だと言っていました。タトゥーのことを話したら、そんなの普通入れるでしょ、とあっさりと。学歴うんぬんよりも、生活習慣や価値観を飛び越えて結婚はできない。いい勉強になりました」
その後、春奈さん夫妻は協議離婚をしました。そして、「とりあえず、ずっと未婚よりも、バツイチになれてよかったです」とげっそりと痩せ、元気のない寂しそうな笑顔で語っていました。
「人並み」の条件が高くなりました。多くの人の中に、結婚が容易にできない時代になったという感覚があると思います。「結婚した」というスペックのために結婚し、それがお互いの望まぬ結果になることも、今後増えていくのではないかと感じています。
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/