高齢者の性と格差社会の明暗を描いた『茶飲友達』という映画が話題だ。公開初日は全国で1館だったが、わずか1か月で全国50館に上映が拡大した。物語は高齢者向け売春クラブが舞台だ。女性の肌を知り満たされていく男性客、貧困にあえぐ高齢のコールガール、低賃金で行き場のない若者……日本が抱える現実的な問題が描かれている。

今回の依頼者は、専業主婦の百合さん(55歳)だ。「同居している義父(80歳)が、頻繁に出かけており、“後妻業の女”にハマっているのではないか」と、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんのもとに来た。

義父は妻と3年前に死別し、都内の200平米のマンションで一人暮らしをしていた。高齢者のひとり暮らしを心配した百合さんの夫が同居に踏み切る。百合さんは真面目一辺倒の義父が女性にハマり、再婚してしまわないかと危惧し、調査を依頼した。

【それまでの経緯は前編で】

ケーキを10個も購入してから、向かった先

義父が出かける日程は全くわからないとのこと。家が広すぎて行動がつかめないそうです。監視カメラやセンサーなどの機器も百合さんは使いこなせないと言います。そこでべた付きの調査をすることに。

調査初日は空振り。2日目に義父が出てきましたが、都内のホテルのラウンジで男性と話し合って帰宅。

義父は80歳だと言いますが、とても若々しい。背はしゃんと伸びており、百合さんがクリーニングに出しているというグレーのジャケットはパリッとしている。ただ、筋肉が衰えているのか、足がおぼつかないと感じることが多々ありました。

義父はそれを自分でわかっているのでしょう。タクシーを使わず、駅までの坂道を歩き、電車移動のときも、エレベーターではなく階段を使っている。仕事ができる人は、目的のために易きに流されない行動をしているといつも感じます。

これは週末に調査をした方がいいのではと感じ、百合さんに相談したところ「そうかもしれません。言われてみると土日に出かけていることが多いです」と返事が。

土曜日の朝から張っていると、11時に義父が出てきました。ダンガリーシャツにチノパン、ダウンジャケットというラフな服装です。変装を意識しているのか、マンションを出るとニットキャップをかぶっていました。

駅まで行く途中にあるケーキ屋さんで、ショートケーキを10個購入。店を出てから、タクシーをつかまえて乗り、我々も後を追います。途中にパン屋さんに寄り、卵とハムのサンドイッチを5個、食パンを3斤、カレーパンを5個購入していました。

タクシーが付いた先は、下町エリアの古い一戸建て。周辺の家賃相場から考えると7万円程度といったところ。中に入ると「おじいちゃんだ!」という女の子の声がして、どたどたと音がしました。その後は全く動きがなく、18時に50代と思しき、ほっそりとした体型で、地味な雰囲気の女性が、買い物袋を抱え、自転車で中に入っていきました。

翌朝、高校生らしき男の子が部活の荷物を抱え、自転車で学校へ。13時30分ごろ、中学生っぽい女子と小学校高学年と思われる男子、女性、義父の4人で出てきました。向かった先はファミレスです。

4人は家族のように親密な雰囲気。男の子はしきりに義父に話しており、義父は穏やかに聞き、適宜ほめたり一緒に考えたりしていました。そして、食事が終わった後、男の子は「先に帰るね」と出ていきます。皿が下げられると、女の子は義父に促されて英語の教科書を取り出しました。義父は勉強を教え、1時間ほどすると「今日はこのくらいにしておくか」と言い、女の子は「ありがと!よくわかった!」と出ていきました。

その間、女性は義父の手をずっと握っている様子を確認。男女の仲なのかどうか、全くわかりませんでした。

【シングルマザーの女性は元部下の妻だった……次のページに続きます】

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