取材・文/ふじのあやこ
日本の非婚化が進行している中でも、離婚を経験後にもう一度結婚に向かう人たちもいる。今回は再び家族を求める人たちに、その理由を伺った。
新一さん(仮名・45歳)は職場の先輩と27歳で結婚。不妊治療を経て第一子を授かるも、妊娠中の妻への負担の負い目もあり、妻からの言葉のDVによって32歳で離婚に至った。
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元妻の再婚を機に、子どもは新しいお父さんを選んだ
子どもの親権は母親に。離婚が決まると妻は元職場に復帰することになり、そこは今も新一さんが働いているところ。話し合いにより、新一さんが会社を辞めることになった。今振り返ると理不尽な要望にも頷くしか選択肢がなかったという。
「子どもの親権は欲しかったんですけど、当然のように母親が優先されることは知っていたし、当時は自分のことで正直精一杯でした。できる限り妻と顔を合わせないように相手の要望を飲み続けたら、仕事も辞めることになってしまっていました。
慰謝料もなしで、私からの要望は子どもに会わせてもらうということだけ。元妻は元職場に復帰したので遠方に行くこともなく、その条件は飲んでもらえました」
離婚して職場も家も変わり、徐々に落ち着きを取り戻していった。子どもとの面会は月一度。それだけが楽しみだったが、2年後に元妻が再婚。再婚を機に面会をやめたいと言われる。
「もちろん、拒否しました。再婚しようとも私の権利がなくなるわけではないので。そんな私を見て、元妻は強行に出たのです。息子を私の前に連れてきて、『この人とお父さん、どっちと一緒にいたい?』と子どもに質問して『お父さん』という声を聞かされて、『無理に会うのはよくないと思うの。裁判しますか?』ですからね。元妻のどこが好きだったのかわからなくなりました。子どもはもしかしたら言わされていた可能性もありますが、新しい家族ができる子どもに対して自分を押し通すことは良くないと思い、提案を受け入れました。養育費はいらないと言われたので、そこから一切連絡は取っていません」
【「男だから何?」男性至上主義の価値観は私の中にもあった。次ページに続きます】