取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

厚生労働省が発表した「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)」では、2020年度の婚姻件数は 52万5490組、離婚件数は19万3251組。婚姻件数、離婚件数ともに前年よりも減少しているものの、今もどこかで夫婦が誕生して、夫婦が他人になっている。日本の非婚化がメディアなどで多く取り上げられているが、今回は離婚を経験後に再び家族を求める人たちに、その理由を伺っていく。

「小さい頃から、無意味に母に偉そうな父のようにはならないと、父のことは反面教師だと思っていました。でも、『男性はこうあるべき』、そして逆に『男性は女性に優しくあるべき』という価値観に支配されていたんだと、今なら思いますね」と語るのは、新一さん(仮名・42歳)。1年前に再婚をしており、現在は妻と2人暮らしをしている。一度目の結婚で子どもがいるが、もう8年ほど会えていない。

息子の妻の年齢を陰で笑う。父のようには絶対にならない

新一さんは岡山県出身で、両親と4歳上に姉のいる4人家族。新一さんの家は亭主関白で男性至上主義。父の前で母親が寛ぐ姿は記憶になく、そんな2人の関係性については考えるのも嫌だったと訴える。

「よく昭和のドラマなどであるような、ちゃぶ台に偉そうに座って何もしない父親というイメージが、まさに私の父でした。父が家事をしたり、私たちと一緒に遊んでくれた記憶はありません。話すのも学校の成績や進路についてぐらいでした。

母はそんな父について何一つ文句も言わず、淡々と家事をこなす人でした。私には優しかったんですが、何かをお願いしても『あとでお父さんに聞いてみるね』、『自分でお父さんに頼みなさい』と言われるばかり。母に言っても意味がないんだなって、いつからか悟りましたね」

新一さんが最初に結婚したのは27歳のとき。相手は最初に勤めた職場の3歳上の女性で、両親への結婚の報告は反対されることもなく、何事もなく終わる。しかし、その直後に家族3人で話したとき、父親は「外であまり嫁の年齢を言うんじゃない」と忠告してきたという。

「父は『30歳を超えた行き遅れしか掴めなかったのか』と私を見下したように言いました。年齢に対しての失礼もそうですが、女性をモノとして見ている考えに嫌悪感を覚えました。そのときにはしみじみ、こうはなりたくないなって思いましたね。

そんな父の発言が頭から離れなくて、結婚後は実家とは距離を置いて付き合うようになりました。すでに就職で大阪に暮らしていましたし、新居も大阪に構えて距離もあったので、あっちからの干渉もなく。自分からわざわざ義実家と交流したい人なんていないだろうし、妻も何も文句は言ってきませんでした。でも、だからなのか、夫婦という閉鎖的な空間で追いつめられていったんですよね……」

【妻からの言葉のDVで離婚。別れるまで毎日泣いていた。次ページに続きます】

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