始発で出社、終電まで帰れない 。オフィスに閉じ込められるように仕事をする

娘がブラック企業に勤務していたのは、2008~2010年頃。毎日始発で出社し、終電になっても帰れない。タクシー帰宅になると自腹になるので、会社に段ボールを引いて寝ていたという。

「どんな仕事をしているか聞いたら、単に企画を考えて入力しているだけ。慣れないパワーポイントの資料作成に時間がかかっているだけだった。家で持ち帰ってやればいいと言ったら、社長や役員が帰らずに仕事をしているので、ペーペーの自分が先に帰れないと言う。そうこうしていくうちに、娘の髪の毛が抜け、瞳孔が開きっぱなしになって、自殺未遂を起こした」

そこまで追い込まれるのには、男女問題も絡んでいた。

「どの会社にもずるい男というのはいて、娘はその男の仕事まで手助けしていたんだよ。カミさんが『だから私が言う通り、そんな会社に入っちゃダメって言ったのに』といつもの調子で言ったら、『私がやることはみんなダメってことなの? パパとママが言う通り、私、努力してきたじゃない。ママが言うようにパパと同じ大学に入ったし、遊びたいのに中学受験も頑張ったのに』と大泣きして大暴れ。手の付けようがなかった」

娘といっても、30歳に近い大人。

「娘は、ほとんど育児もノータッチだった私のことを、無責任だとなじった。何を考えているかさっぱりわからない。カミさんまで、『あなたが何も言わないから、育児に失敗した。子は親の作品。うちの子達は失敗作だ』と言う。娘は自分が『失敗作』だと言われて、相当ショックだったみたい」

【金を稼げばいいんでしょう? と当てつけのように夜の仕事へ……~その2~に続きます】

Writer&Editor 沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。

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