整理整頓された冷蔵庫は女の影ではなく、母親の形跡

美貴さんが今の夫と出会ったのは合コン。人数合わせで急遽呼ばれた、浅い知り合いしかいない飲み会だったため、友人の前評判など何も知らない状態で付き合ったという。

「ちょっと疑い深いというか、ちゃんとお互いを知ってから仲良くなりたいタイプだったんですけど、夫とは共通の仲の良い人も一切いなくて、2人だけで何度か遊んでいくうちに仲良くなった初めての人でした。

姉のことがあって実家が都内にあったものの、当時26歳で、自立しないと、となんとなく一人暮らしをしていて、相手も親の転勤で東京に実家があるも一人暮らしをしたほうがいいかと実家を離れているなど、共通なところが多かったんです。警戒していたのは最初だけで、すぐに週の半分くらいは相手の家で過ごすようになりました」

半同棲状態の中、最初の違和感は整理整頓された衣服と冷蔵庫。美貴さんが使用した調味料などが次に行ったときには小さな箱にまとめられていたそう。

「私が行くようになるまで、冷蔵庫はほぼ飲み物しか入っていない状態でした。ご飯は外食か実家でとっていると言っていて、まぁ実家が近かったらそうなるのかなとあまり気にはしていませんでしたね。相手の家に行ったら数日居座るので料理をするようになり、調味料などを揃えるようになったんです。小さい調味料なんて冷蔵庫のドアポケットに適当に入れていたんですけど、次に行ったときには揃えられて箱に入っていて。浮気を疑い、誰! って聞いたら、『母親』と。その一言があまりに自然すぎて、頻繁に冷蔵庫を整理するということは頻繁に家に来ている状態が普通なんだって。最初の違和感はそこでしたね」

初めて相手の母親とバッティングしたのはその半年後。なかなか顔を合わせなかった理由にもゾッとした。
~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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