取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った美貴さん(仮名・36歳)は32歳のときに相手に結婚に向かないポイントを把握しつつも、年齢からの焦りもあって結婚に踏み切る。思い返すと、付き合って数か月ですでに違和感があったという。
「いつ行ってもキレイな部屋に、完璧に生理整頓された冷蔵庫。女の影ではなく、相手の母親と知ったときから、相手の部屋は2人でゆったりできる空間から、見張られているような緊張感を持つようになりました」
私と同じように、毎週母親と会う日を決めていた
そんな緊張感も続かないほど、義母と顔を合わせたのは半年も先だった。義母は初対面で放った言葉は「どなた?」。1年弱の付き合いになるも、美貴さんの存在をまったく伝えていなかったことに気づく。
「2人で一緒に家でゆっくりしているときにいきなり入ってきたんです。合鍵を使って。最初から相手はあたふたして『約束の日じゃないだろう!』って言っていました。どなたと言われたことで彼女と紹介してもらえたのですが、ここまで交流している母親に、普通は彼女の存在を伝えませんかね。
ご挨拶をしてすぐに帰られたんですが、その後に引っかかっていた“約束の日”について聞いてみると、私と同じように母親とはわざわざ毎週会う約束をしていたみたいなんです。それを普通の顔をして、『母親1人息子1人の家族だったら頻繁に連絡を取り合うのは普通だろう』と。私には両親も姉もいるからわからないと言われました。ゾッとしましたね。確認はしませんでしたが、仕事と嘘をついてまで母親と会うのを優先していたこともあったんでしょうね」
美貴さんの存在を認知した後の義母は、実家に招いてくれたり、美貴さんの分の料理も用意してくれたりと優しかった。しかし、結婚の約束をして同棲をスタートさせてからは一変、敵視されたという。
「私に対してよくしてくれたというよりも、“息子の彼女に寛容な私”に酔っている感じはしましたが、優しくしてくれていたのは嬉しかったです。でも、結婚の意志を確認して婚約中から同棲しようとなったときから、態度は一変しました。私たちの家に頻繁に来て、あからさまに私と彼に差をつけるようになりました。彼もそれを受け入れ続けるだけでした。
ここで結婚をやめるべきだったんです。もう周囲にも結婚することを伝えていて……、恥をかきたくないとか、そんな気持ちが先行してしまって……」
【“マザコン”の一言に、目の前にリモコンが飛んできた。 次ページに続きます】