「子どもが3歳になるまでに脳の80%が完成する」というデータが発表され、3歳までにいかに子どもと向き合い、多くの刺激を与えるかが、脳の成長に影響を与えると言われています。
そこで、東大卒の女性が母親になり、子育てについて意見交換を行う「東大卒ママの会」の著書『「東大脳」を育てる3歳までの習慣』から、3歳までの子どもの脳に良い影響を与える習慣についてご紹介します。忙しい暮らしの中でも実践できる手軽な方法なので、気負わず楽しみながら取り組んでみてください。
文/東大卒ママの会 イラスト/後藤グミ
ピアノ演奏など音楽体験が集中力を伸ばす
2歳を過ぎたら子ども自身に楽器を演奏させるのがおすすめです。
研究によると、自分で楽器を演奏することで子どもは夢中になり、集中力が養われるそうです(※) 。子どもの手の大きさに合った子ども用ピアノやピアノ絵本(鍵盤がついていて、音が出るもの)などを使って、まずは簡単な童謡を親が弾いて子どもに真似をさせてみてはいかがでしょうか。最初は「ド」の音に印をつけておくと、「『ド』レミドレミ」「『ド』レミファミレド」と弾きやすくなるのでおすすめです。また、ピアノなら手指を使うので、脳の発達がさらにうながされると思います。
「3歳からピアノを習い、大学卒業まで続けました。幼い頃からの毎日1時間ピアノの前に座り練習する習慣もあり、勉強の際にも集中力を高く維持できたと思います」(法学部卒/M・Y)
※ David Medina, Paulo Barraza.: “Efficiency of attentional networks in musicians and non-musicians”.
heliyon, 5 (2019): 2019, e01315
足し算・引き算はおままごとやミニカー遊びの中で教える
1から10までの数が数えられるようになったら、今度は足し算や引き算を遊びの中に取り入れるのがおすすめです。たとえば、ミニカーを5台並べて「もう1台きたよ。全部で何台になった?」(足し算の概念)、おままごとをして「ポテトが4本あるね。1本食べたら残りはいくつ?」(引き算の概念)など、身近なおもちゃで遊びながら楽しく算数を教えてみてはいかがでしょう。
「娘とおもちゃで一緒に遊ぶときは、足し引きの考えを取り入れるようにしていました。2歳では簡単な計算ができるようになりましたし、会話の中で足し引きを学んでいたからか、小学生では算数の文章題も得意でした」(農学部卒/Y・Uの母)
子どもは遊びの中で理解できると、自然と勉強も好きになると思います。好きなことをしていると、興味のないことも同時に覚えられることが研究でも証明されています(※)。
※ Gruber MJ and Gelman BD and Ranganath C.: “States of curiosity modulate hippocampus-dependent
learning via the dopaminergic circuit”. Neuron. 84(2): 2014, pp. 486-496
三角形、四角形、立体を作る、折り紙で図形脳を育てよう
折り紙は「図形脳が育つ」「指先を使うので脳の活性化によい」「集中力を鍛えることができる」などさまざまなよい点があるそうです。紙を半分に折ることができるようになる2歳ごろから折り紙にチャレンジさせてみてはいかがでしょう。まずは角を合わせて半分に折り、三角形や長方形を作る練習から。折り方により違う形ができるなど、図形を感覚的に学ぶことができます。上達してきて簡単な作品を作るときは、子どもが真似できるよう親も一緒に取り組むのがおすすめです。
「幼いころから折り紙をよくやっていました。本にある折り方を自分で理解して折るには、折り線の指示から次の形を立体的に想像しなければいけません。作っていく過程で失敗したときはやり直し、正しい折り方を自分で探していきました。折り紙をしていたおかげか、集中力と図形を認知する能力がつき、算数も得意でした」(経済学部卒/R・O)
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『「東大脳」を育てる3歳までの習慣』(東大卒ママの会 著)
小学館
東大卒ママの会(とうだいそつままのかい)
東京大学卒業(2010年~2011年)の現役子育てグループ。主要メンバーは7名。東大出身者が受けてきた幼児教育に、子育てママ世代の関心が高いことに着目し、そのネットワークを活かし、東大OBOGたちへのヒアリングやアンケートを行う。これらデータを基に「東大生の幼少期の習慣」を分析し、現役ママの目線も取り入れて、“今すぐできる幼児教育”の実践方法を提案している。