「子どもが3歳になるまでに脳の80%が完成する」というデータが発表され、3歳までにいかに子どもと向き合い、多くの刺激を与えるかが、脳の成長に影響を与えると言われています。
そこで、東大卒の女性が母親になり、子育てについて意見交換を行う「東大卒ママの会」の著書『「東大脳」を育てる3歳までの習慣』から、3歳までの子どもの脳に良い影響を与える習慣についてご紹介します。忙しい暮らしの中でも実践できる手軽な方法なので、気負わず楽しみながら取り組んでみてください。
文/東大卒ママの会 イラスト/後藤グミ
英語の教えどきは「r(ア ール)」と「l(エ ル)」の違いがわかる生後6〜12か月ごろ
「私が0歳のころから、親は英語のCDやビデオを流していたといいます。小学生のころアメリカに引っ越して数年暮らしていましたが、現地校の英語の補習クラスを同級生より早く卒業できました。赤ちゃんのころから英語を聞き、英語の音に慣れていたおかげかもしれません」(法学部卒/A・M)
日本人は、英語の「r」と「l」の聞き分けが苦手だと言われています。でも、日本人も生後6〜8か月のころは、「r」と「l」を含め、あらゆる音の違いを聞き分けられるそう。しかし、生後10〜12か月のころから、耳にする頻度が低い音は識別されなくなっていくのだとか(※)。
あらゆる音を聞き分けられる6か月ごろから、親も口ずさんだりリズムにのったりしながら、英語の童謡を聞かせたり、アニメを見せてあげるのがおすすめ。英語のリスニング能力が高まり、歌詞やセリフで単語や言い回しを覚えてくれることも。
※ Kuhl K Patricia.: “Early Language Learning and Literacy”. Neuroscience Implications for Education, Mind,
Brain and Education. Vol. 5, Issue 3: 2011, pp. 128-142
絵本を読んだら本物に会いに行こう
ゾウ、森、海……。絵本には普段なかなか見ることのできないものがたくさん出てきます。絵本を読んだらぜひ本物を子どもに見せてあげましょう。本物を見ると好奇心が刺激され、探究心を伸ばせると言われています(※)。
「動物園で本物のライオンを初めて見たときとても印象に残り、家で何度も真似をして遊んでいました。マフラーをしっぽに見立て、プリーツのスカートをかぶってたてがみの代わりにし、親に『似ている?』と確認したようです。その後もライオンを見る機会があれば食い入るように観察しました。本物のライオンの迫力に惹かれて、好奇心、想像力が刺激されたのだと思います」(法学部卒/M・Y)
本物を見た後、「これは何?」「なんでこうなっているの?」と疑問に思った子どもが質問してきたら、今度は本や図鑑などを使って子どもと一緒に調べてみるのがおすすめです。
※ 西田 耕之助 :「 脳とにおい」(『環境技術』22巻10号) 1993, pp. 604-607
子どもが好きなキャラクターはどんどん学びに繋げよう
「幼いころ、大好きな『美少女戦士セーラームーン』の絵本やアニメを見て、惑星や星座の名前を覚えました(東大卒アンケートでも回答多数)。『好きなキャラクターの絵本を読みたくて、ひらがなを覚えた』という東大卒の友人もいます(※)」(農学部卒/Y・U)
好きなキャラクターが絡んだときの、子どもの真剣さに驚いたことのある方は多いのではないでしょうか。大好きなキャラクターの人形と一緒に知育に取り組んだり、筆記用具にキャラクターのシールを貼ったりするだけでも、子どもは「やってみよう!」という気持ちになるはず。「キャラクターは使ってもよいのだろうか?」とためらわず、積極的に取り入れて楽しく学ぶ機会を作ってみませんか。
「キャラクターの出身地を調べよう!」と地図を出す、「このキャラクターの名前はなんて読むのかな?」とカタカナ表を開いてみるなど、子どもの好奇心をどんどん学びに繋げることもできます。
※「子どものころ、好きなキャラクターはありましたか?」という設問に、78.4%の人が「はい」と回答した。
* * *
『「東大脳」を育てる3歳までの習慣』(東大卒ママの会 著)
小学館
東大卒ママの会(とうだいそつままのかい)
東京大学卒業(2010年~2011年)の現役子育てグループ。主要メンバーは7名。東大出身者が受けてきた幼児教育に、子育てママ世代の関心が高いことに着目し、そのネットワークを活かし、東大OBOGたちへのヒアリングやアンケートを行う。これらデータを基に「東大生の幼少期の習慣」を分析し、現役ママの目線も取り入れて、“今すぐできる幼児教育”の実践方法を提案している。