「子どもが3歳になるまでに脳の80%が完成する」というデータが発表され、3歳までにいかに子どもと向き合い、多くの刺激を与えるかが、脳の成長に影響を与えると言われています。
そこで、東大卒の女性が母親になり、子育てについて意見交換を行う「東大卒ママの会」の著書『「東大脳」を育てる3歳までの習慣』から、3歳までの子どもの脳に良い影響を与える習慣についてご紹介します。忙しい暮らしの中でも実践できる手軽な方法なので、気負わず楽しみながら取り組んでみてください。
文/東大卒ママの会 イラスト/後藤グミ
赤ちゃんの大好きな歌を繰り返し聞かせて言語能力を伸ばそう
赤ちゃんが大好きなことのひとつに「歌」があります。音楽と言葉は脳の同じ部分で処理されるので、歌を聞くことで言語能力も伸ばすことができると言われています(※)。
「生後すぐから子守歌や童謡を毎日歌いかけていました。そのおかげか歌が大好きになり、2歳ごろには5分間くらいの歌を歌詞もちゃんと覚えてひとりで歌っていました」(工学部卒/Y・Yの母)
音楽を流してもよいかもしれませんが、赤ちゃんがおなかの中にいるときから聞きなれている、ママやパパの声で歌ってあげませんか? 繰り返し聞くことで赤ちゃんは歌や歌詞を覚えます。赤ちゃんの表情や手足の動きなどをよく観察して「お気に入りの歌」を見つけ、時間のあるときに何度も歌ってあげてはいかがでしょう。何を歌ってあげればよいかわからないときは、インターネットで検索するのも手です。
※ Zhao Christina T, Kuhl Patricia K.: “Musical intervention enhances infants’ neural processing of temporal
structure in music and speech”. Proceedings of the National Academy of Sciences. vol. 113,19: 2016, pp.
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「車だね」「赤い車だね」など形容詞をつけて語りかける
子どもが単語を覚えて使えるようになるには、その単語を異なるタイミング、使い方で13〜15回聞く必要があると言われています(※)。また、いろいろな形容詞と一緒に聞くことで、子どもはその単語の使い方を覚えるのだとか。
つまり、単語を教えたいときは、ひとつの単語をいろいろな形容詞と一緒に、繰り返し語りかけるのがよいそう。たとえば道路を車が走っているのを見て「車が走っているね!」と言うだけではなく、「赤い車だね」「車は自転車よりも速いね」「大きい車だね」と語りかけるのがおすすめです。
「私は4人きょうだいの末っ子です。母は私が0歳のとき、1週間にひとつ私に教えたい単語を決め、上のきょうだいとともに『形容詞』+『決めた単語』を話しかけるようにしていたそう。その結果、私も1週間程度でその単語を覚えた(発語前は指さしができるようになった)とか」(法学部卒/H・K)
※ Harvard Graduate School of Education. Small Kids,Big Words,
https://www.hepg.org/hel-home/issues/24_3/helarticle/small-kids,-big-words, 2019/11/19
「うさぎ『が』ぴょん」、『が』や『を』などの「助詞」ははっきりと
「お外暑いね」「ごはん食べようね」……。子どもに話しかけるとき、「が」「を」などの助詞を抜かしてはいませんか? 助詞は日本語の意味を正しく相手に伝えるための大切な役割を担っています。たとえば、「A B 追いかけられた」だと、「AがBに追いかけられた」のか「AにBが追いかけられた」のかわかりません。助詞を意識することで、その文の意味を正確に表現することができます。
とはいえ、話し言葉を即座に変えるのは難しいもの。まずは絵本を読むときに「うさぎ『が』、ぴょんぴょん、とんできて」など助詞を強調して読んだり、助詞が抜けていれば補って読むのがおすすめです。
「3歳のころにやっていたドリルで、文章に抜けている助詞を入れる問題が苦手でした。それを見て、母が絵本を読むときに助詞を意識的に読んだところ、問題を解けるようになり、文章表現も上手になったそうです」(法学部卒/S・W)
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『「東大脳」を育てる3歳までの習慣』(東大卒ママの会 著)
小学館
東大卒ママの会(とうだいそつままのかい)
東京大学卒業(2010年~2011年)の現役子育てグループ。主要メンバーは7名。東大出身者が受けてきた幼児教育に、子育てママ世代の関心が高いことに着目し、そのネットワークを活かし、東大OBOGたちへのヒアリングやアンケートを行う。これらデータを基に「東大生の幼少期の習慣」を分析し、現役ママの目線も取り入れて、“今すぐできる幼児教育”の実践方法を提案している。