不倫相手が妻になった後、生活が前より窮屈になった
“大きくなるまで”を20歳になるまでと悟ったという史郎さん。不倫相手には“不倫容認”と合わせてすべての事実を伝えたところ、「待ってるとは言えないけれど嫌になるまでは一緒にいます」と言われる。そして、不倫関係が10年になった史郎さんが43歳のとき、離婚が成立。子どもはまだ中学生だった。
「子どものことがあったのでそれからも家には帰るようにして、元妻とは不倫の事実を伝える前と同じような生活が続きました。彼女とは、空いている時間をより一緒にいるようになりましたね。待っていてくれないかもしれないという不安な気持ちもあったと思います。
“嫌”と言われてからずっとそんな関係が続いていたのに、普通の会話を続けていたときに『離婚しよう』と言われました。そのときに妻側の不倫も打ち明けられたのです。本当に勝手ですよね……。でも怒る気にはなれずに、やっと終わるのかとホッとしたような、どこかでこの生活がなくなるという空虚感みたいないろんな気持ちがぐちゃぐちゃでした」
不倫両成敗で慰謝料なしの離婚となり、親権は元妻に。元々関係は悪くなく、離婚で揉めることもなかったので離婚後も子育てのことを気軽に相談できる関係に。それはお互いが再婚後も続いたというが、新しい妻がそれをよく思わなかったという。
「今の妻とは離婚後1年弱で再婚しました。やっと責任をとれたという感じでしょうか。今までずっと一緒にいたのだから、結婚後も関係はうまくいくと思っていました。
でも、元妻と連絡を取っていることに対して文句を言ってくるようになりました。妻というポジションからなのか、本当に急に束縛するようになった印象です」
しかし、史郎さんはそんな現妻に強く言えない、後ろめたい気持ちがあると打ち明ける。
「待たしていた間に彼女も40歳を超えて、子どもを諦めるしかない状況にしてしまった。まだ望めば可能性はゼロじゃないにしても、その努力を今から始める気力は残っていないのです、お互いに。もしかしたら子どものことを理由に連絡してくる元妻が許せないのはそんなところもあるのでしょうか。一生聞けませんけど。いつか落ち着いてくれるのか、今の生活は耐えるだけのものになってしまいそうで怖いです」
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今回のパターンは“不倫容認”というイレギュラーな状態だったものの、略奪婚が幸せになれないとはよく聞く話。それには、また誰かに心変わりするかもしれないことに加え、元妻という存在に対しての不安感が関係しているという。その不安が男性側を窮屈にさせているのであれば、略奪婚が幸せになれないのは必然かもしれない。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。