焼香

仏教の葬儀に参列される際、必ず焼香をしなければなりません。前の方のやり方を見ながら慣れない焼香の順番を待つのは誰しも少なからず緊張するものです。

そもそもなぜ焼香をするのでしょうか? 正しいやり方や不適切なやり方などはあるのでしょうか… ? この記事では、焼香について京都日葬(https://kyoto-nissou.com)の阿部 雅がご紹介いたします。

目次
お焼香の意味とは?
基本的なお焼香の作法
最後に

お焼香の意味とは?

お香のかおりはどこか懐かしく日本人の潜在意識の中に組み込まれているかのように、心を落ち着かせてくれます。そもそもお焼香とは何でしょうか? 一般的には仏様にお供えするものの一つといわれております。深く調べていきますと『日本書記』にも香の記述があるそうで、その歴史から日本人のDNAに組み込まれているのかもしれません。

お釈迦様の入滅は2500年前(諸説あり)といわれておりますが、その頃から香というものは重宝されておりました。「法華経」でも「密教」でも記されており、仏教では切り離せない供養の形の一つとなっております。

私たち俗の者にとっては、仏様へのお供え、敬いの心を表現し、心身または空間(周辺)を浄化する意味ととらえて間違いはないでしょう。

基本的なお焼香の作法

焼香の意味を知ると、理解が深まることでしょう。宗派により異なる回数や作法がありますが、重要なのは仏様を敬い故人を弔う気持ちが最も重要です。

一般的な作法

一般的な作法としましては、焼香の案内がされましたらお数珠を左手に用意します。よくいろいろな方向に列をしながら焼香場まで進みますが、基本的には右前に喪主がおられますので、一礼し焼香台に向かいます(※地域や葬儀ホールでの配置等がありますので、ここでの紹介はあくまでも一例です)。

尊前・遺影写真の前に立たれたら、一礼し焼香をします。その後、数珠を左手にかけて合掌し再度一礼します。そして喪主に一礼の後、反対側におられる親族、または参列者に一礼し、下がる形で問題ないでしょう。その際には時間をかけず速やかに済ませることが、式進行への配慮になります。荷物等は最小限にしておき数珠はあらかじめポケットに入れておくと、スムーズです。

親族の方は参列者がお焼香の時一礼をされますので、その際は軽く頭を下げ応えるのが、失礼にならないでしょう。中には参列者が一礼されているのに、気づかれていないケースもあります。故人を思っている時ではありますので、問題はありませんが、頭を下げ、応えられた方がより丁寧な印象です。基本的には、喪主はじめ立礼の方が参列者を迎えるので心配はいりません。

・「回し焼香」とは

よく「回し焼香」という言葉を耳にしますが、基本的には葬祭ホールではあまり扱われない焼香方法です。葬祭ホールには焼香場・焼香台が用意されておりますので、参列者はそちらに向かい焼香を行います。

焼香場所を用意できない場合、座ったままで香炉を回すことを「回し焼香」といいます。ご自宅で法要する際に焼香場所が作れないため香炉を回して焼香をする、そのことを指します。

・通夜で焼香する場合の服装や時間について

通夜は基本的に急な報せになります。ですから、遠方または職場から駆け付けるため服装の制約はありません。しかしながら、礼服ではなくてもできる限りシックな服装を用意された方が良いでしょう。最近は手軽に購入できる洋服店も増えてきているので、シックなシャツを選べばそれだけで印象も変わります。

通夜の時間は「夜を通す」と漢字が表す通り、制約はないといわれております。しかしながら、ご家族様か親しい友人ではない限り、夜8時くらい最低でも9時頃までに行けないようでしたら、翌日の葬儀に参列することが無難でしょう。どうしても無理な場合は喪主、ご家族に確認の連絡を入れるようにしてください。

宗派による違い

宗派により焼香の作法は様々です。今回は代表的な「浄土宗」「浄土真宗本願寺派」「真宗大谷派」の焼香について、ご説明いたします。

浄土宗の宗祖は、法然上人です。余談になりますが、当時はアイドル的人気を博していたといわれております。さて、お焼香の回数は3回といわれておりますが、基本的には決まっていないそうです。知り合いの何人かの浄土宗のお寺さんにも聞きましたが、1回の方も3回の方もおられました。最近では1回焼香が主流になっているため、心を込めた1回焼香でよいのではないでしょうか? 作法としましては右手3本の指で香をつまみ左手をそえて額に近づけ焼香する形になります。

親鸞聖人は、「門徒ものいらず」という言葉があり爆発的に庶民に受け入れられたスターですね。親鸞聖人が宗祖の宗派は、代表的に2派あります。浄土真宗本願寺派と真宗大谷派です。俗にいう西本願寺と東本願寺です。西が浄土真宗本願寺派、東が真宗大谷派になります。

浄土真宗本願寺派の焼香は1回焼香です。作法としましては右手3本指で香をつまみ、額に上げず右から左へとスライドさせるように焼香する形になります。

真宗大谷派の焼香は2回焼香です。作法としましては右手3本指で香をつまみ、額に上げず右から左へとスライドさせるように焼香する形になります。真宗大谷派の場合は、最後に乱れた香をきれいにならすのを忘れないでください。

余談ですが、法然上人も親鸞聖人もどちらも比叡山で修業されていたそうです。親鸞聖人は法然上人のお弟子さんになるのは有名な話ですが、そう考えますと比叡山はやはりすごいところなんですね。

間違えた時はどうしたらいい?

お焼香を間違えてしまうこともあります。そんな時はどうしたら良いのか? 故人を弔いにお焼香に来られ失敗したとしてもとがめられることはありませんので、心配はいりません。作法はありますが、そうしなければいけないという決まりではないからです。

たとえ失敗したとしても、心から故人を思う気持ちが一番大切です。このような気持ちで、ゆっくり一礼しお焼香にお進みいただければ失敗することはないでしょう。

自宅でのお焼香の仕方は?

葬儀に参列できず、ご自宅に焼香に行かれる場合もあると思います。その際には、お供えとして手土産を持参するとより丁寧でしょう。お線香、お花、菓子折など、気持ちでよいと思います。

うかがう際にはご家族に連絡を入れてからにするのが良いと思います。葬儀後すぐだと親族の方は疲れておりますので、少し日をあけてからが望ましいのではないでしょうか。

ご自宅に訪問されて挨拶が済みましたら、まずお線香を上げてください。自宅では法要以外で焼香することはありませんので、基本的にお線香になります。そのあと故人との思い出話や感謝をご家族にお伝えください。長くいるのも気を使わせてしまう場合がありますので、配慮しながら故人を偲んでください。

最後に

古来より葬儀の重要な供養として用いられるお焼香ですが、意味深くそして尊いものです。

仏様にお捧げし、その場を浄化させるお香は日常でももっと使用される場面があってもよいと思います。最近では、お香もお店やリラックスの道具としても使用されることが多くなってきていますが、そこには人が昔から心を落ち着かせることのできる大切な仏様からの教えが詰まっているのではないでしょうか?

●執筆/阿部 雅(京都日葬 https://kyoto-nissou.com

「毎日のことから万一のことまで」地域を支える京都日葬グループ
不安から安心へ~をモットーに、様々なご相談にお応えしている。変化していく宗教観、家族観の中で弊社ができることは何か? なんでも相談できる集団であり続けることが、お客様の不安を安心に変えられる一番の方法だということを実感し、独自の京都日葬グループを確立。

●構成・編集/京都メディアライン(https://kyotomedialine.com FB

 

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