取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った暁子さん(仮名・37歳)は現在、旦那さまと子どもとの3人暮らし。子どもが自分以上に義両親に懐いていることを悩んでいると言います。
「祖母のことを嫌いな子になるよりはいいんでしょうが、毎日のように義実家に行きたいと泣かれている毎日で、それが大きな負担になっています」
家族を縛っていた父が亡くなり、家族はそれぞれ自由になった
暁子さんは兵庫県出身で、両親と3歳下に妹のいる4人家族。父親は暁子さんが大学生のときに病気で亡くなってしまったそうですが、元気だった頃もあまり仲良くはなかったと振り返ります。
「亭主関白で子どもたちにも高圧的で、家の中の父は絶対的な存在でした。基本は寡黙でたまに口を開けば怒っているような人で、父の考えていることがまったくわからずに、物心がついたときからずっと怖い存在でしたね。何か相談するのもすべて母親だったし、2人きりであまり会話をした記憶がありません。
だから、父親の病気が発覚して、余命を伝えられたときもあまり悲しいという感情が芽生えずに『悲しまなくては……』と焦ってしまいました。お見舞いも1人では行けなかったので同じ思いを抱える妹と一緒に行くようにしていました。亡くなったときは悲しそうな母親や祖父母を見て、やっと泣けた感じです」
現在、母親は祖母と2人暮らしをしていて、妹は海外で生活しているとか。2~3年に1度のペースで会っており、コロナ前後で会う頻度に変化はないとのこと。
「関西から離れたくて就職で東京に出たんですが、当初から帰省費用がなくてあまり帰っていなかったので、それが帰省のペースになっていて。父が亡くなってから母親は前よりも生き生きとして、習い事を始めたり、旅行に頻繁に行くようになったりと、祖父が亡くなるまでは一人暮らしを謳歌していました。だから娘にもあまり興味がなくなったんじゃないかな、もう2人とも母親が絶対という年齢でもなかったし。
妹は専門学校を出てからすぐに彼氏と同棲を始めて、20代半ばの頃にワーキングホリデーで出会った海外の男性と結婚して、海外に行ってしまいました」
【子どもを産んで1年で義実家との物理的な距離が消滅。次ページに続きます】