子どもの“悪いところ”ではなく、“個性”だと思え
一方の義両親の家でも子どもの好き嫌いは激しかったものの、義両親は一切口出しせず。子どもがご飯を振り払う形で床にすべてこぼれたときがあり、その中の義母の一言に救われて泣いてしまったと言います。
「『文ちゃん(娘の名前・仮名)はグルメなのね』って。私が偏食気味なことを伝えながら謝ると『子どもは急に食べだすこともあるから、焦る必要はない』と言ってくれました。その言葉に泣いちゃったんですよね。とても言い方が優しくて。そしたら、『一緒に文ちゃんの好きなもので栄養があるものを作っていきましょう』と泣く私の背中をさすりながら言ってくれました。
そこからかな、私が義母に子育ての相談をするようになったのは」
義母は旦那さまの子ども時代を例に「それでもこんなに大きくなったんだから」大丈夫と何度も思い出話をしてくれたそう。
「今はあまり好き嫌いのない夫なのですが、昔は酷い偏食だったそうです。でも、好きなものの中から栄養があるものを食べさせていたと。夫が今嫌いなものは給食のときに担任の先生に無理矢理食べさせられたものだと言っていました。『一生付き合っていく食でいい記憶を子どもの頃に残してあげましょう』って。
よく泣くところや偏食、言葉が遅いことも『お医者様が大丈夫と言っているなら大丈夫。外の声より専門家の声。それは子どもの“悪いところ”じゃなくて、“個性”でしょう』と。こんな見方ができるんだって、本当に目からウロコでした」
旦那さまは接客業から本部のデスクワークになり、コロナ禍によって完全リモートワークに。東京に住み続ける必要がなくなり、地元・埼玉県で暮らしたいという旦那さまの言葉に奈々子さんは賛成します。
「義実家と徒歩圏内でと提案したのは私のほうからです。今2人目が生まれて1年未満なのですが、2人目を安心して作ることができたのは義母のおかげです。自分の中にあった『ダメな子にダメな母親』というレッテルを取り払ってくれたからです。今はいつまでも泣き止まない我が子を見て、『声帯が強いな~』と無理にでも褒めポイントを作るようにしています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。