コロナ禍にあって、人とコミュニケーションをとる機会は以前より格段と少なくなってきています。しかし、人は「自分のことを話したい」という欲求を持っているといいます。人と会話する機会に話をうまく聞くことができれば、コミュニケーションの質が高まり、相手との関係を良好に保つことができるでしょう。

そこで、累計100万部のベストセラー『人は話し方が9割』の著者、永松茂久さんの『人は聞き方が9割』から、人とのコミュニケーションがうまくいく「聞き方」のコツをご紹介します。

文・永松茂久

表現欲求が上がる時代に

今、私たちの生活は、ITの発達により、以前よりたくさんのことを世の中に発信することができるようになりました。ブログやYouTube、FacebookをはじめとするSNSで、個人の情報を世の中に大きく届けることも可能になり、今やそれは日常的になってきました。

こうしたインフラの進化と同時に高まったものがあります。それは1人ひとりの表現欲求です。いろんな発信が可能になったことで、「私もひと言言いたい」という願望が高まってきたのです。そして同時に、SNSを通して、世界中の人たちとつながることができるようになりました。

しかし、実際はどうでしょう。それで人の孤独感は埋まったのでしょうか? SNSで称賛をもらうために、等身大の自分をはるかに超えた自分自身を演出しようと無理をする人。つながりを求めていろんな人にメッセージを送っても、返信をもらえずに悩んでいる人。逆に、たくさんのフォロワーはついていても、それは実際に会ったことのない人ばかり。「この中で、自分のことを本当に思ってくれている人って何人いるんだろう」と心の底で、本当のつながりを探している人。

このような悩みを抱えている人たちが増えているのも事実です。これに加え、2020年から始まったコロナ禍。生きるということが当たり前だった今の私たちすべてが、たくさんの人の死を間近に見ることで、
「自分が本当にやりたいことって何なんだろう?」
「自分にとって、本当に大切な人は誰なんだろう?」
「自分が困っている時、本当に支えてくれる人はいるのかな?」

という人生の価値そのものをあらためて探し始めました。

人は無意識に安心できる場所を探し続けている

今、社員のメンタルヘルスを整えるために、カウンセラーを社内に常駐させる会社が増えているとよく聞きます。ひと昔前は、会社の悩みごとや相談は上司が聞くことが定番でした。

しかし、今、それぞれのつながりが薄くなっていき、ハラスメントをおそれて職場でのコミュニケーション自体が減ってきています。それを補うために、話を聞いてくれるカウンセラーが必要になっているのです。そしてここからも、在宅のテレワークという働き方が一般的になればなるほど、人と話すという基本的なコミュニケーションの場がどんどん減ってくることは目に見えています。出社の回数が減って自由になった分、逆の意味ではコミュニケーションの機会の減少というマイナス面も同時に生み出してしまうことになるのです。

人は本来話したい生き物です。コミュニケーションの場所が減ったとはいえど、その欲求が減るということは決してありません。無意識に、どこかに話す場所を求めていくことになるでしょう。当然ですが、「話したい」という気持ちを満たすためには、ただ壁に向かって独り言を言うことでは解決できません。

「聞いてくれる人」の存在が必要になります。つまり「聞く人」の存在は、多くの人にとっての心理的安全基地であり、その存在が大きく求められていくのです。

100%好かれる聞き方のコツ

ここからは聞く人が今まで以上に求められる時代になる

イラスト ©久保久男/朝日メディアインターナショナル

* * *

『人は聞き方が9割』(永松茂久 著)
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永松 茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN 代表取締役。大分県中津市生まれ。2001年、わずか3坪のたこ焼きの行商から商売を始め、2003年に開店したダイニング陽なた家は、口コミだけで県外から毎年1万人を集める大繁盛店になる。自身の経験をもとに体系化した「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で多くの講演、セミナーを実施。「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累計動員数は延べ45万人にのぼる。著作業では2020年、書籍の年間累計発行部数で65万部という記録を達成し、『人は話し方が9割』の単冊売り上げで2020年ビジネス書年間ランキング1位を獲得(日販調べ)。2021年には、同じく『人は話し方が9割』が2021年書籍の年間ベストセラーランキングで総合1位(日販調べ)、ビジネス書部門でも2020年に続き、2年連続1位(日販調べ)に輝く。トーハンでも2021年ビジネス書年間ランキング1位に。著書は『人は話し方が9割』『人は聞き方が9割』『喜ばれる人になりなさい』(すばる舎)など多数あり、累計発行部数は285万部を突破している。


 

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