取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った礼美さん(仮名・43歳)は39歳のときに結婚、現在は旦那さまとの2人暮らしです。礼美さんは東京都出身で、母親との2人家族。母親は相手男性の愛人で礼美さんを出産。私生児という自分の生い立ちがあり、結婚は小さい頃から諦めていたとのこと。しかし、36歳のときに出会った男性と39歳のときに結婚に至ります。
「相手は10歳年上で、お互いにいい年齢だったこともあり、付き合うときに『結婚前提』と言われていました。付き合うことを断り続け、5回目で受け入れることにしました。彼が私のことを受け入れてくれても、相手の家族によって結婚することはないだろうと、付き合った当初は思っていました」
私の生い立ちを知った上で義両親は結婚を勧めてくれた
付き合って2か月ほどで義両親との食事に誘われた礼美さん。これも何度か断ったそうですが、折れない相手の性格を知っていただけに結局行く羽目になります。義両親の第一印象は優しそうな人。しかし、食事の機会を重ねる度に義両親からの結婚の圧も相当なものだったとか。
「初めて食事に行ったときに好きな食べ物などの質問をされて、次の予定が決まる感じでした。目の前で相手の両親から誘われたら断れませんよね。夫は最初から私のことを結婚前提で紹介していたみたいで、3度目の食事のときには『結婚はいつ頃?』と聞かれました。
私はグイグイくるところに戸惑いこそはありましたが、迷惑とはまったく思っていませんでした。それなのに義母は『結婚したら程よい距離感で付き合っていくように努めますから、いまだけは構わせて』と言っていましたし、義父は『自分がお母さんのことを止めるから』と結婚後の生活で自分たちがいかに迷惑をかけないかを訴えてくるんです(苦笑)。
私はこの人たちのことを好きにならないように必死でしたね。私の生い立ちがわかって、スッと離れていかれるときに傷つきたくなかったから」
礼美さんの母親に旦那さまを紹介したことがあったそうですが、礼美さんの母親は結婚に難色を示したそう。そのときに結婚に対する不安が礼美さんの中で爆発してしまったと言いますが、旦那さまや義両親はすべてを知った上で礼美さんを受け入れてくれます。
「母親は紹介したときには笑顔で過ごしてくれましたが、『あんな年上のさえない男』と最低なことを言っていました。母親は私を盗られるような気持ちだったんだと思います。この人のせいでやっぱり結婚できない、私の中で結婚をリアルに想像していたようで、結婚できない事実を受け入れられずに彼の前で不安から泣き叫んでしまったんです。『あの人(母親)のことが嫌いでも離れられない。その負担をあなたに強いられない。私の生い立ちを知ったらあなたの両親も結婚するなと言うはず』と。そしたら、『ごめん、すでに知っているんだ』って。『は?』ってなりましたが、知ってて受け入れてくれているんだって思ったら、嬉しくて余計に涙が止まりませんでした。
その後、結婚に向けた話し合いを義両親として、両家の挨拶などは私の意向でしないこと、結婚式を行わないことにも同意してくれました。母親とうまく付き合えない私のことまで受け入れてくれたんです」
【1人で解決できないことを相談できる場所が見つかった。次ページに続きます】