元夫が抱く「被害者意識」はどこから?
元夫は週3勤務から通常勤務に戻ることなく退職。同じような年収を目指して就職活動をしていたそうですが、なかなかうまくいかなかったそう。この頃から優子さんに対して被害者意識を強く表すようになっていったとか。
「私は夫に今の水準よりも下げてもいいと言っていたんです。家賃が厳しかったら引っ越しすればいいし、私が働いているから何とでもなると伝えたかった。でも、夫は『(あなたには期待していないから)下げてもいい』というふうに受け取っていたみたい。『自分のせいで生活レベルを下げたと思われたくない』とボソッと言っていました。
そこから何に対しても悪くとるようになりました。洗濯物の畳み方を少し直してほしくて伝えたら、『こんなことさえできないでごめんね』と……。何を言っても謝られることばかりになって、私から何かを夫に伝えるのもしんどくなっていったんです」
そんな時期を経て、元夫のほうから『離婚したい』と告げられたという。
「『いつも怒られてばかり。もうモラハラに耐えられない』と言ってこられました。私が怒っていないと伝えても、『ハラスメントは受けた側がそう感じたなら成立する』そうです。
そこから子どもができなかったことも蒸し返されて、私も疲れてしまって……。離婚したいと告げられた2日後には家を出ていき、元夫は地元に帰っていきました」
そこから離婚成立までは義母とのやりとりで本人には一度も会っていないとのこと。
「義母もいつも優しかった息子が疲弊して帰ってきたものだから私の話をまったく聞かずに、終始悪者扱いだった」そう。
子どもができなかったことに、コロナ禍で仕事に対するプライドを失ってしまったこと、学生時代からの信頼関係は壊れてしまった。『もし子どもがいたら、もし彼の仕事がうまくいっていたら……』と優子さんは今もときどき考えるという。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。