取材・文/ふじのあやこ
新型コロナの流行に伴い、私たちの生活は激変した。人とはソーシャルディスタンスという一定の距離を保ち、日常的なマスクの着用など国民全体でのルールが敷かれているものもあれば、リモートワークや失業など、個人によって大小それぞれ異なった変化も起こった。
この連載ではコロナ禍よってもたらされたさまざまな変化により、人生が変わってしまった人たちに話を伺っていく。
「コロナ禍によって仕事を追われる人が多い中、私のような悩みは一見贅沢だと思われるかもしれないのですが……」と語るのは、隆司さん(仮名・37歳)。千葉県出身で、現在は都内で彼女と同棲中とのこと。若い頃に一度離婚経験があるという。
いわゆるお世話のかからない子だった
隆司さんは両親と3歳下に弟のいる4人家族。隆司さんは優等生で反抗期もなし。親に歯向かっていたのはいつも弟だったという。
「特にいい子でいなければという思いがあったわけではなく、家は特に厳しいこともなかったから歯向かう理由がなかったという感じです。それに弟が少し素行が悪かったというのもあって、弟のことで苦労している両親にこれ以上の負担はかけてはいけないかなと。
私と弟はまったく性格が違うのですが、仲はいいです。実は過去の離婚理由には弟が関係しているのですが、それでも嫌いになることはなかったです」
結婚をしたのは25歳のとき。離婚は28歳で、さまざまな問題の中でお金のことが大きかったそう。
「結婚相手は大学時代の同級生です。卒業後もそのまま付き合って結婚の流れになったんですが、付き合ったときよりも結婚生活は短かったですね(苦笑)。やっぱり恋愛と結婚は違うということでしょうかね。
離婚理由は性格の不一致などもありましたが、弟の借金を相談なしに数百万を肩代わりしたこともそのひとつです。学生時代から結婚するまでは大きなケンカもなく、ずっと仲が良かったはずなのに、最後は『不信感しかない』と言われました。幸いにも子どももいなかったので、離婚へは大きな揉め事もなく。今はまったく連絡を取り合っていません」
【社長と社員の愚痴聞きで1日の大半を消費。次ページに続きます】