取材・文/ふじのあやこ

新型コロナの流行に伴い、私たちの生活は激変した。人とはソーシャルディスタンスという一定の距離を保ち、日常的なマスクの着用など国民全体でのルールが敷かれているものもあれば、リモートワークや失業など、個人によって大小それぞれ異なった変化も起こった。

この連載ではコロナ禍よってもたらされたさまざまな変化により、人生が変わってしまった人たちに話を伺っていく。

「“コロナ離婚”という言葉が流行った頃はまったくの他人事でした。何でも相談してくれる夫と支え合ってこれからも生きていきたいとあの頃は心の底から思っていたから」と語るのは、優子さん(仮名・39歳)。大阪府出身で、東京には元夫と一緒に上京してきたとのこと。付き合いは学生時代からで、地元ではすべてといっていいほど共通の知り合いばかりだという。

元夫は優しすぎる人。結婚生活も容易にイメージできた

優子さんは両親と2歳下に妹のいる4人家族。家族全員が仲良かった時期は記憶になく、優子さんはいつも妹とともに母親に父親との離婚を勧めていたそう。

「父親がアルコール依存気味だったんです。ちゃんと病院に行ったり、診断を受けたりしてはいないからあくまでも素人判断なんですけど。たまに二日酔いで仕事を休むことはあったけれど仕事はちゃんとしていたと思います。父は誰かと飲んでくるよりも家で飲むことがほとんどで、酔っ払うと気が大きくなるのかムカつくことがあったら物に当たるタイプ。お酒やおつまみがなくなるとキレて、夜中でも母親に買いに行かせていました。

そんな父親に文句も言わずに従う母親が私たちは不憫で、『離婚すればいい』といつも母に伝えていました。それでも母親は苦笑いを浮かべるだけ。今母親は『当時はあんたたちを育てないといけなかった』と言いますが、今でも離婚していません。私たちももう何も言わなくなりました」

優子さんが元夫と出会ったのは高校生のとき。お互いの友人同士が付き合っていたこともあり、卒業間際で付き合うことに。そこから大きな揉め事は一度も訪れることなく、27歳のときに結婚に至った。

「出会ったときから感情に波がない穏やかなところが好きだったんです。付き合っている間もケンカは私が一方的に怒り、彼がそれをなだめるだけで終わっていました。言い合いを避けるタイプで、そんなところにイライラしてしまっていた時期もありましたが、私も年齢とともに落ち着いてきて、結婚間際のときにはまったくケンカがなくなり、熟年夫婦みたいと結婚前から友人たちには言われていました(苦笑)。

結婚は相手の転勤がきっかけです。それなら籍を入れたらという義両親の助言があり、入籍してから上京しました」

【お互いがお互いを支えているという夫婦関係。次ページに続きます】

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