「積み木」は片付けてはいけない
――積み木で遊ばせたくとも、幼い子供は動画を見たがることが多いと聞きます。
積み木はただ与えても、子供は自主的に遊びにくいので、やはりそこは大人がついて、一緒に楽しみつつ、何かを作ったらほめるといいですよ。
そして、ポイントは積み木を片付けないこと。積み木は手と頭を使う、素晴らしい知育玩具なのに、隅に追いやられてしまうのは、親子ともども「片付ける」というストレスがあるからです。
先に、遊びと勉強の境を作らないことをお話しましたが、動作・心理上の障壁をつくらないことが大切。「めんどくさい」を排除するのです。
私は、積み木を片付けなくてもいいように、1m×1mほどの板を用意。これをリビングに置き、その上で積み木遊びをしていました。掃除や来客のときは、積み木を乗せた板を移動すればいいのです。これで、小学校3年生くらいまで遊ばせていました。成長すると、いろんなことができるようになるのも楽しいですよ。また、前後左右、どこから見るかで形状が変わることも教えられますしね。
積み木を使った図形問題は多く、積み木遊びがひと段落したと思ったら、「積み木の問題をやってみようか」と、プリントを差し出していました。子供たちはクイズを楽しむように、それらを解いていました。わからなかった問題は積み木を並べて確認していました。実体験とプリントをリンクさせることで頭の中の回路がつながります。
――その積み重ねで、長男は難関中学校・灘中学校に合格。そして長男・次男共に東京大学に進学。ちなみに、どんな積み木を選べばいいのでしょうか?
基本はシンプルな積木です。乳児の時は色付きのもので、幼児からは白木の積み木です。足りなくなったときに色を選ばず買い足せるという利点がありますが、色がついていないことで想像力が育つのです。白木なら、消防車でもパトカーでも子供のイメージ通りに作ることができますから。我が家では白木の積木は立方体の寸法が3cm角のもので、1.5cm✕3cm✕6cmのサイズがきっちり作られているものを多めに購入しました。300個以上は必要でした。
――ところで、積み木遊びを卒業してから、柴田家の子どもたちは、どのような遊びをしていたのでしょうか。
ボードゲーム、トランプ、かるたなどを夢中になってやっていました。ボードゲームはおすすめですよ。指先を使いながら、思考しつつ対戦するので、コミュニケーション能力も磨かれます。ボードゲームの中でも、パズル系の『ブロックス』(ブロックパズルゲーム)、思考能力が試される将棋やオセロや『シンペイ』などはおすすめです。
――ここまで読み、「ウチの子は手遅れだ」と思う人も多いと思いますが……。
そんなことはありません! 子供には無限の可能性があります。ここまでお話したことでもわかるように、算数はさまざまな能力を学ぶ、複合的な教科なのです。それに従って単元も無数にあり、例えば小学校1年生なら、足し算、引き算、長さ、2年生なら、掛け算、面積、図形……さまざまなことを学びます。
ひとつの単元ができないからと言って、「ダメだ」と思うのではなく、その子の得意な単元を伸ばせばいいのです。好きな単元ができたときに「算数ができる。算数っておもしろい」と意識が変わることは多々ありますよ。そこを見つけて伸ばしていくのが、大人の役割です。
――苦手な単元の克服方法を教えてください。
最初に戻ることです。苦手な単元は、基本から振り返り、コツコツと克服するしかありません。というのも、学習は土台がしっかりしていないと、応用が解けないからです。
算数では特に基本となる計算力が無いと、問題を解くのにも計算の方に気がとられたり、計算間違いをしてつまずいてしまうことがあります。百マス計算を繰り返しやっておき、素早く確実に計算、答えも早く出すことが出来ます。
難関校の入試には、そういう問題が出されますので、基礎をしっかり固めることが何よりも大切です。
最初にお話ししたように、算数は生活の中にあふれています。物事を効率的に考え、ものの見方が多角的になるなど、生きていくうえで大切な能力が身に付く単元でもあるのです。苦手意識を持たず、日常生活の中で、楽しみながら取り組んでいただきたいですね。
【子供を東大生にするために、祖父母ができることとは? 次回に続きます】