寒くなるにつれて、洋服を脱ぎ着する際などに、バチッバチッという不快な静電気に悩まされることが増える。
では、この静電気を減らすためには、どんなことに気を付けたらよいだろうか?
■1:着る服の素材
まず気をつけたいのは、着る服の素材の組み合わせだ。
繊維には電気を帯びる性質があり、繊維の種類によって帯びやすい電気がプラスとマイナスに分かれる。
例えば、老若男女を問わず愛用者が多いフリースの素材はポリエステルだ。ポリエステルは、マイナスの電気を帯びやすい。一方、プラスの電気を帯びやすい繊維素材にウールがある。
このように帯びやすい電気の種類が反対のものを一緒に着ると、静電気を起こしやすくなる。そのため、フリースを着る場合は同素材のポリエステルか、マイナスの電気を帯びる性質があるアクリル素材の服を着ることで、静電気を防ぎやすくなる。
それに対してウールの服を着用する場合は、ウールやプラスの電気を帯びる性質のあるレーヨンなどが適している。絹や綿などは比較的電気を帯びにくいので、どんな素材の服とも合わせやすい。
■2:ゆっくり放電
そもそも静電気が起きる主な要因は、摩擦(まさつ)である。衣類が擦(こす)れることで電気が生じるのだ。
静電気と呼ばれるのは、生じた電気が体に溜まって静止した状態だからである。だが、金属製のドアの取っ手など、一気に電気を通しやすい物質に指先が触れると、大量の電気が瞬時に放電される。その結果、バチッという大きな音がして痛みを感じたりする。
これを防ぐには、ゆっくりと電気を通す性質のある木や紙、コンクリートなどに触れてから、金属製のものなどに触ると、静電気防止に効果的だ。
■3:部屋の湿度を調節
また、一般的に静電気は湿度が35%以下だと起こりやすく、65%以上なら起こりにくいとされる。冬場は暖房器具の使用によって部屋が乾燥しがちになるので、加湿器などで湿度を50~60%に保つのも静電気防止に有効だ。
静電気を完全に防ぐことは難しいが、原因となる要素をできるだけ取り除けば、静電気の発生や強度を抑えることができる。
以上、冬場の静電気対策の基本として、ぜひ知っておいていただきたい。
文/諸井里見