遊園地のジェットコースターは安全だとわかっているので楽しいものですが、何の知識も無く目隠しされて乗せられたら“恐怖”しか感じないでしょう。インターネット初心者はインターネットのことを知らないので、恐怖を感じるのです。
では、インターネットとは、どういった仕組みなのでしょうか? いつもは裏方でみなさんを支える「インターネット基本のき」に当たる「インターネットリテラシー」について解説します。
目次
インターネットリテラシーとは?
情報を受け取るときのリテラシー
情報を発信するときのリテラシー
まとめ
インターネットリテラシーとは?
「インターネットリテラシー」とは、インターネットを使うための「最低限のルール」のこと。
Google検索をすることを「ググる」と呼んだりしますが、「インターネットリテラシー」をググると、警察の案内ページや、リテラシーの低さから起きる問題などがヒットします。便利なインターネットを使うには、「インターネットの常識」を知らないといけないのです。「学校で習ってないぞ」「そんな常識があるのか!」「インターネットは怖い……」などと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、社会を形成して生きている常識とインターネットの常識は、ほとんど変わりません。違うのは、インターネット回線に繋ぐと、遠くのたくさんの人たちと関係を持つことが出来る点です。
情報を受け取るときのリテラシー
インターネット上には数多くの詐欺が存在しています。「日本語の使い方が間違っている」詐欺メールや、スマホに備わっているSMS(ショートメッセージサービス)を使った詐欺メッセージなどを受け取ったことがある方も多いのではないでしょうか。
詐欺をする側はプロなので、次々と新手を考えます。被害に遭わないようにするには、どうすれば良いでしょうか?
現実社会で、家の鍵を知らない人に預けたりはしないでしょう。インターネット上の家の鍵は、「パスワード」に相当します。Webページなどで情報を受け取るときに「IDとパスワード」を要求される場合は、詐欺サイトでないことが確認出来なければ利用しないことです。
また、複数のサイトで同じ「パスワード」を使わないことをお勧めします。12345や誕生日、孫の名前などは、絶対にやめましょう。
ネット上の情報を鵜呑みにしない
新聞・ラジオ・テレビ・雑誌などは、真偽をチェックする機能を持っていて、信用度の高い情報ばかりでした。しかし、インターネットにおける情報発信は、無料で使えるレンタルサーバーやブログサーバーなどから容易に出来るので、情報価値が低く、真偽のわからない情報が多くあります。
誰かの思い込みが連鎖して拡がり、それが真実だと信じ、知らないうちにイジメに加担していたなどということが起こることもあります。
また、インターネットでは「ステルスマーケティング(ステマ)」というビジネスがあり、身分を隠しながら売りたい商品やサービスを褒める記事を書き拡散させます。製品評価を書き込むECサイトなどでも、自社製品を売るためにウソを書いたり、ライバル社製品の評価を落としたり……、知れば知るほどインターネット利用は奥の深い仮想社会です。
インターネット仮想社会では、ネット上の情報を鵜呑みにしないことが大事。Google検索をして表示される内容は、必ずしも正しいとは限らないのです。
コンピュータウイルスを防ぐ
「コンピュータウイルス」という言葉をよく聞きますが、コンピュータウイルスの感染経路はどこからでしょう? 例えば、どこかのWebサイトで「XXをダウンロードしてください」「あなたに新型携帯電話が当たりました!」などという表示がされたら、基本的には即ブラウザを閉じるくらいに、用心しなくてはなりません。それらの多くはウイルスをばらまく目的でダウンロードを誘っています。
一方、USBメモリにウイルスを仕込んでおき、パソコンに差し込むことで感染させるレガシーな方法も未だに使われます。
最近のウイルスはトロイの木馬型が多く、侵入してもすぐに発病しません。近年流行している「マルウェア」ウイルスがよく使う手段で、ある日突然、会社内全てのデータを暗号化され金銭を要求されます。恐ろしいですね。
ウイルス検査をするソフトウェアやWindowsであれば、標準で検査ソフトが使えます。必ず定義ファイルを「自動更新」して使いましょう。「自動更新」が必須です。そのうえで、不必要なダウンロードや持ち主がわからないUSBメモリなどは使わないと決めれば、ウイルス被害は少なく出来ます。
セキュリティ対策に「絶対」はありませんが、対策を「自動更新」していないパソコンなどから侵入されることのほうが多いのです。
情報を発信するときのリテラシー
「個人情報の公開」と「セキュリティ」については、気をつけておいた方がいいでしょう。それぞれ気をつけるべきポイントについて解説します。
個人情報の公開
ウェブ上のサービスは、発信する人の個人情報や趣向、友人関係まで、数多くの個人情報を収集して、サービス向上を行っています。そうしたサービスは、世界中で何億人ものユーザーから集めた個人情報から巨額な広告収入を得ているのです。
収集した個人情報の扱い方は、「約款」に書いてありますが、読まなくてもさほど心配ありません。なぜなら、収集した個人情報を悪用するよりも安全に管理して「広告」に使う方が儲かるからです。つまり、インターネットサービスは、無料で視聴出来る民放テレビ同様に広告収入で成り立っているのです。
クラウドジャイアントと呼ばれるSNSなどでは、個人情報はしっかりと管理されていますが、小規模な事業者だと管理が行き届かなくて不安です。クレジットカードの裏面3ケタの数字要求に対して、サイトにデータを入力するのは、辞めておいた方がいいでしょう。
必要性がわからなければ、個人情報を入力して公開するのは、やめておくべきです。
セキュリティ
ルールを無視して稼ぐ人たちはどこにもいます。現実社会では詐欺などがありますが、大抵の方は騙されないでしょう。しかし、インターネットではどうでしょうか? 膨大な情報が行き交う仮想空間、仮想社会なので経験が少なく、騙されていたとしてもわからない場合があります。
一方、インターネットサービス提供側は、たくさんの方々に使ってもらって利益を確保する場合が多いので、悪事を行う人たちからユーザーを守らないとビジネスになりません。そこで、ユーザーを見分けるために使うのが「IDとパスワード」になります。
「約款」を提示して、了承いただいた方に「IDとパスワード」を発行してユーザーになってもらうのです。サービス提供側は、この資産である「IDとパスワード」を守らないとなりません。これをセキュリティ対策と言います。
ユーザーからクレジットカード情報なども預かりますから、セキュリティ対策が甘くて個人情報が漏れると、現実社会で被害が出ます。しかし、現実社会のクレジットカードと同様に、保険なども整備されている場合が多く、サービス提供側のセキュリティは様々な方法で守られています。
まとめ
インターネットを使っていると「そんな事も知らないのか?」とご指摘を受け、「怖い」経験をなさった方も多いことでしょう。しかし、インターネットを使って欲しいサービス提供会社が、「約款」を含め、様々な方法で「インターネットを使うルール」を教えてくれます。現実社会で家の鍵に相当するパスワードは知らない人に渡さないなど、当たり前の事を守っていれば、経験が増え(スキルが上がるとも言います)、インターネットリテラシーが身についてくることでしょう。
杉田正
インターネットハンドルはsugipooh。
アマチュア無線、TK-80BS、PC-8001、APPLEII、MacintoshPlusからのアップル信者。大型ストレージ、RAIDやNAS開発からWebサーバー開発、データセンターにおけるセキュリティ規格ISO27001(ISMS)を日本で最初に取得。現在はクラウド用省エネデータセンター研究開発や省エネデータセンター構築コンサルタントを行っている。
構成・編集/京都メディアライン(http://kyotomedialine.com)