孤独死

みなさんは、「孤独死保険」という保険があることをご存知でしょうか? この言葉を見たとき、筆者は正直驚きました。これはいったいどういう保険なのか? と。しかし、孤独死は高齢者のみならず若年層に至るまで、幅広く発生しています。今回は孤独死保険とはどういうものなのか、その種類や選び方などについても解説します。

目次
孤独死保険とは
孤独死で発生する費用
孤独死保険の種類
孤独死保険の選び方
まとめ

孤独死保険とは

孤独死保険は、孤独死によって生じる金銭的損失を補償する役割を果たすものとして利用されています。例えば、賃貸物件オーナーにとっては、入居者の孤独死による家賃の損失や居室の原状回復費用などに充てるといったイメージです。

孤独死で発生する費用

ここでは、孤独死で発生する費用を「孤独死発生から全ての手続きが完了するまで」と考えます。全ての処理を行うために必要な項目と費用相場については、以下の7つに分類されます。

葬儀代

ご葬儀に関する費用は、直葬、家族葬、一般葬のどれを選択するかによって大きく変わります。近年は一般の葬儀においても、家族葬のような小規模の葬儀を選ぶ方が増えており、そのプランによって葬儀費用もまちまちです。

直葬の方法をとれば数十万くらいですが、地域によってかなりばらつきがあるようです。また、故人の交友関係や社会的地位などの事情により、通常通りお通夜と告別式を行う場合には数百万円かかる場合もあります。

遺品整理・原状回復に関わる費用

自宅内の遺品を整理し、残された家財道具など、すべてを撤去するための費用。遺品整理は、自宅の大きさや遺品・撤去する物の量により金額が異なります。一般的には「〇tトラック何台分」といった算定基準で費用が変化。また、特殊清掃が必要となると、さらに高額の費用が上乗せとなる可能性もあります。

※特殊清掃
孤独死や自殺などにより自宅内で亡くなった現場の後処理(原状回復)をする清掃作業のことです。一般的に、賃貸物件などで借主が退去した後でもハウスクリーニングを依頼し、次の入居者に住んでもらう流れとなりますが、孤独死等があった後の部屋はそう簡単にはいきません。遺体の発見が遅れた場合には、腐敗臭の処理が必要となり、体液が床にこびりついている場合、普通の洗剤では落としきることも難しいのです。そこで、専門業者による特殊清掃という方法をとり、孤独死があった部屋を綺麗にし、次の方が使えるような状態までもっていきます。

遺産整理・相続手続きの費用

遺産整理時において、手続きを依頼する司法書士や税理士などに支払う費用。孤独死の場合、遺産の全容が不明なことも多く、最初から専門家に依頼をして手続きを代理してもらうことが多いのも実情です。一般的にはどの事務所でも遺産の総額に応じた報酬と定めていることが多いようです。

相続放棄に関する費用

故人に借金が多い場合、相続人に該当する方には相続放棄をするという選択肢があります。この場合も、司法書士か弁護士へ依頼をして、家庭裁判所に対する相続放棄の手続きを代行してもらえます。相続放棄をする人数や戸籍を集める実費等で金額は変わってきますが、司法書士であればざっくり10~15万円くらい。弁護士だと30万円程度が相場となります。

相続税に関する費用

故人に相続税の基礎控除額を超える遺産があった場合には、税務署へ相続税の申告が必要です。こちらは税理士に依頼し、相続税申告書を提出してもらうことになります。こちらも遺産総額によって変わりますので一概には言えませんが、税理士報酬として30~120万円くらいを想定しておいた方がいいでしょう。

賃貸物件の場合、大家さんへの損害賠償費用

孤独死した場所が賃貸物件の場合、大家への損害賠償が発生する可能性があります。これに関しては、ケースバイケースなので、金額は明言できません。家賃相場等も勘案し、数十万円単位の費用は覚悟した方がいいでしょう。

その他、支払いを滞納していた場合

孤独死のケースでは、直近の保険料など支払いを滞納している場合があります。賃貸の場合は家賃料金を、故人が所有していた物件の場合は固定資産税を滞納していることも考えられます。孤独死の処理をするのであれば、これらの滞納分を把握して精算する必要が出てきます。どの程度の滞納があるかを速やかに把握する必要があるため、自宅等の捜索で滞納に関する郵便物などを確認し、債務関係書類を見つけていかねばなりません。

独居老人

孤独死保険の種類

孤独死保険には、保険料を負担する人が異なる2つの種類があります。一つは賃貸物件のオーナーが加入し保険料を負担する家主型、もう一つは入居者が加入し、保険料を支払う入居者型です。家主型は、死亡事故発生時に損失を補償するもの。入居者型は、入居時に加入する家財保険の特約として、死亡事故への補償もついています。

家主型のメリット・デメリット

家主型の保険のメリットとデメリットをご紹介します。

▷メリット
家主型のメリットは、家賃損失がカバーできることでしょうか。孤独死により事故物件となった場合、家賃の減額や原状回復のために空室期間が発生してしまいます。家賃保証費用として実際に支払われた保険金額は32万円程度というデータもあります。家主側としては心強い保険と言えるかもしれませんね。(参考:日本少額短期保険協会「第4回孤独死現状レポート」)

▷デメリット
加入条件の中には、一棟単位で加入しなければならないものや、最低何室以上の加入、といったような設定があるために、1戸あたりは数百円であっても戸数によって大きな負担になることがあります。

入居者型のメリット・デメリット

入居者型の保険のメリットとデメリットをご紹介します。

▷メリット
入居者さんにとっては、入居者補償があるというところに特徴があります。家財保険のため、孤独死以外の犯罪・災害などの損害に対する補償も含まれます。

▷デメリット
賃貸物件オーナーさんにとっては、家賃損失については補償内容に含まれていないことから、孤独死を原因とした家賃減額や空室期間の家賃損失のカバーは期待できません。また、保険契約者が入居者のため、原則として原状回復後の保険請求は入居者の相続人が行うことになります。

もしも、相続人がおられない場合、保険金請求手続きをする人がいないことになるため注意が必要です。このような事態を避けるために、家主側や管理会社が保険金の請求を行える特約があるか等を商品選択時に確認しておきたいポイントです。

また、補償の名前や区分も異なります。家財保険と賠償責任保険の2つに様々な補償が含まれる場合もあれば、修理費用補償と孤独死の復旧費用補償など細かく分かれている場合も。補償してほしい内容が保険に含まれているのかどうかも、よく確認するようにしましょう。

孤独死保険の選び方

先述のとおり、孤独死保険は大きく分けて家主型入居者型の2つの種類があり、20社を超える保険会社が対応しています。そのため、各保険会社によって内容に細かな違いがあります。商品選びの大きなポイントとして、以下の5つがあげられます。

次のようなポイントを確認しながらご自身に合った保険を考えてみてはいかがでしょうか。
1.補償期間
2.補償内容
3.孤独死のみ対象なのか、孤独死以外の損失もカバーできるものかどうか
4.室内で亡くなった場合のみ対象なのか、病院などで亡くなったときにも対象となるか
5.事故物件となってしまったときの補償内容

まとめ

今般のコロナ禍の影響もあり、突然思わぬ病に倒れる人や、自宅内で最期を迎える人も決して少なくない現状です。孤独死が起きた場合、原状回復費用のほか、次の入居者には家賃を下げて案内しなければならなくなる可能性もあることを考えると賃貸オーナーの負担は非常に大きくなってしまいます。

これまでは孤独死による損害は家主だけのものと思われてきましたが、自分の死後に、賃貸契約の保証人や家主、親戚等に迷惑をかけないためにも、借主自身も孤独死対策保険への加入を検討する時が来ているのかもしれません。

●構成・編集/内藤知夏(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

●取材協力/坂西 涼(さかにし りょう)

sakanishi

司法書士法人おおさか法務事務所 後見信託センター長/司法書士
東京・大阪を中心に、シニア向けに成年後見や家族信託、遺言などの法務を軸とした財産管理業務専門チームを結成するリーガルファームの、成年後見部門の役員司法書士。
「法人で後見人を務める」という長期に安定したサポートの提唱を草分け的存在としてスタート、
全国でも類をみない延べ450名以上の認知症関連のサポート実績がある。認知症の方々のリアルな生活と、多業種連携による社会的支援のニーズを、様々な機会で発信している。日経相続・事業承継セミナー、介護医療業界向けの研修会など、講師も多く担当。

司法書士法人おおさか法務事務所(http://olao.jp

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