父と再会したことが裏切り行為となり、母はいなくなった

月に2回のペースで実家に泊まるようになった依乃さんのことを旦那さまはよくは思いません。次第に依乃さんの母親のことでケンカが増えていき、結婚後すぐに子どもを授かった後には家庭内別居状態になってしまったとか。

「怒って当然ですよね。逆の立場だったら私も我慢できないと思いますから。

子どもを授かったことで一時は仲が元通りになりつつあったのですが、私の母親が義母が入り込む隙間がないほど家に来たり、里帰り出産をしたまま帰してくれない期間が続いて。帰る準備を少し始めるだけで寂しいと言いながら泣くんです。機嫌が良いときは子どもの面倒も率先してみてくれたりはするので、子どもと母親の両方が泣く状態を避けたくて、そのままズルズルと3か月半ほど経ってしまいました。夫は母のことが苦手で、最初の頃は様子を見に来てくれたんですが、それも徐々に減っていきました。そんななか子どもに会いに来ない夫を見て、母も悪口を言う始末で……」

母親とそんな関係が続いていた中、父方の祖父が亡くなったと弟から連絡があり、葬儀に参加することに。そこで20年以上ぶりに父親と再会します。

「弟は上京した後から父方の祖父母を介して父と連絡をとっていたみたいで、祖父が亡くなったことも弟から聞きました。葬儀で会った父親は老けていましたね。でも、懐かしさなどはなかった。このおじさんが私の父親なんだなって感じでした。捨てられたという思いがあったんですが、怒りなどもありませんでした。

それに、弟から、父がずっと会いたいと言っていたのに拒否されていたこと、父が出した養育費と合わせて祖父母の家からもお金をもらっていたことを聞かされ、母親のことが心底情けなくなりました」

母親との関係に悩んでいたものの離れ方がわからなかった依乃さんですが、あるときに母親と言い合いになり、父親と会っていたことを伝えたことで決別に至ったと言います。

「言い合いになったことで嘘をつかれていたことなどをぶちまけてしまって……。それで父と会っていることがバレたんです。『裏切り者』と言われ、出て行けと。それからパタッと連絡は来なくなりました。会わなくなってもうすぐ2年です。まだ寂しいという気持ちも、すがすがしいという気持ちも湧きません。私から歩み寄るつもりはないので、このまま一生会えないかもしれないと覚悟はしています」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

1 2

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
5月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店