取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った梨花さん(仮名・41歳)は37歳のときに結婚して、現在は旦那さまと子どもとの3人暮らしをしています。梨花さんは現在離婚を考えているそうですが、それには複雑な事情があると言います。
「離婚は私からではなく相手から。私的には最初から愛情があったのかも不確かな関係だったので、離婚はしてもいいんですが、夫婦間で最低な問題が発生していて……」
家族のことだけが大好きな内弁慶タイプだった
梨花さんは千葉県出身で、両親と3歳上と1歳上に姉、2歳下に弟のいる6人家族。4人の子どもを育てながら母親は働きに出ていたそうで、小さい頃は寂しさからよく母親が働くお店に遊びに行っていたと振り返ります。
「母親はスーパーの2階にある日用品売り場で働いていて、私は母親が働いている場所から見える位置にあるベンチで、姉か弟と一緒によくおもちゃを持ち込んで遊んでいました。同じお店のおじさんやおばさんからお菓子をもらえたので、その場所はお気に入りでしたね。程よくクーラーもきいていたから家よりも涼しかったし(苦笑)。母は児童館(学童保育)に行きなさいってよく怒っていましたけどね。今はすごく人見知りするのに、あの頃はみんながかわいいかわいいって言ってくれるから、なんか無敵になった気がしていたんですよね(笑)」
自分のことを人見知りという梨花さんですが、思春期に入った頃は友だち付き合いがうまくできなかったそうです。
「内弁慶というやつで、家ではわがまま言い放題だけど、いざ外に出るとおとなしくなるようなタイプで。学校では友だちはいましたが、休みの日に遊ぶような子はいませんでした。でも、全然寂しくなくて、最初からそれだと別に普通なんですよ。家に帰れば兄妹の誰かはいたし、勉強もスポーツも中の上ぐらいはできたので、卑屈になる要素もあまりなかったですし。
高校生のときには、友人は好きな異性の話ばかりをしていたんですが、私は好きな人さえいない状態でした。同世代の子って子どもみたいで、異性として意識したことがなかったし、かといって年上が恋愛対象かといえば出会う場所なんてなかった。いずれはできるだろうと思っていたけど、卒業するまで何もない状態でしたね」
【一生1人かも……。その恐怖から大学時代の友人と結婚へ。次ページに続きます】