取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った、江里菜さん(仮名・40歳)は、36歳のときに職場で出会った2歳上の男性と結婚。旦那さまは再婚だったものの、子どもはいなかったとのこと。この時期のあるある、義実家への帰省に悩んでいると言います。

「実は10月に妊娠がわかったばかりで、コロナ禍もあり今年は帰省しない予定です。私は何度も流産を経験していて、そのときに義両親から心無い言葉を浴びせられた記憶があるので安定期に入るまで妊娠を絶対に伝えたくないのです。しかし、妊娠を伝えていないことで、年末年始は帰省することという“親族内ルール”を断る理由が乏しくて……」

転勤族の父親を持ち、離れて暮らす親族とはずっと疎遠だった

江里菜さんは大阪府出身で、両親と1歳上に姉のいる4人家族。家族は父親の仕事で全国を転々としており、親族との付き合いもあまりなかったと振り返ります。

「小学生の頃は転校を繰り返していましたね。父親は商社に勤めていて、あまりよく覚えていないけど2年に一度ぐらいのペースで引っ越ししていた気がします。父親の生まれは岡山県寄りの兵庫県の端っこなんですが、親族も全国に散らばっていて、年に一度会うのは父方の祖父母ぐらい。母方の祖父母は祖父が老後は海沿いでと2人で遠くに暮らしてしまっていたので、数年に一度会うかどうかぐらいで。祖父母以外の親族と会うようになったのも、祖父母の葬儀や法事だけでしたね」

しかし、最初から親族付き合いがないと寂しいと思うこともなかったそう。家族仲は良く、離れて暮らす今も関係は良好だと言います。

「引っ越しが多かったこともあって、車で2~3時間で行ける距離のところでも真新しさがありよく泊まりの旅行に出かけていました。父親の趣味がドライブということもあって、車をフェリーに乗せて、本州を離れたこともありましたね。

姉と私が思春期に入ってからは、家族での旅行こそあまり行かなくなったものの、両親はずっとアクティブで2人でよく出かけていました。父親は今はもう70歳手前なんですが、まだ定期的に運転を続けていて。できれば遠出などの運転は控えてほしいんですが、楽しみを奪う気がして言えていない状態です。今から姉と運転をやめてほしい旨をどう伝えようか、会議を重ねています」

結婚の挨拶から義実家に宿泊義務が発生。次ページに続きます】

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