自分の子どもにはそうしたくないとずっと思ってきたのに……
結婚式も行わずに妊娠期間も両親との交流はなし。しかし孫が誕生したことで両親の態度は軟化。特に父親は、別人のように優しくなっていたそうですが、それには理由がありました。
「生まれたことを報告したら、2人して会いに来てくれたんです。父親は別人のように孫にデレデレで、一時はこんなに孫という存在は威力があるのかって思いました。そのときに夫と初めて顔を合わせたんですが、いつもの父なら体力仕事を行う夫のことを見下しそうなのにそれもありませんでした。
やっと何かを言われることなく親と向き合えると思った矢先に、父親が病気で亡くなったんです。孫を見せてから1年とちょっとでした。父は末期がんを患っており、最後の数か月はずっと病院でしたね」
父親は最後に態度を改めて、美琴さんの人生を受け入れてくれたように見えましたが、母親の気持ちは、元気だった頃の父親と一緒のまま。美琴さんの旦那さまのことを悪く言うことも多かったそう。
「母親は父親が亡くなってからも、父親の残したお金で悠々自適な生活を送っていて、それを“大手に勤めていた”父のおかげだと思っていました。確かにそうなんですけど、それを私の夫と比べて、『あんたは今から節約しておかないと苦労する』と決めつけてくるんです。夫の仕事は、天気などによって仕事が左右されて多い月と少ない月のやりくりが大変で、それを母親に何度か愚痴ってしまったことも悪かったんですがね」
そんな母親のことを否定しつつも、今は子育てで旦那さまとケンカが増えてきており、その内容のほとんどが見栄からくるお金のことになってしまっているとのこと。
「お給料が上下することはわかっているのに、それでも高いときの水準で生活してしまって、決して裕福じゃないのに、ママ友やご近所さんの前では裕福なフリをしてしまうんです。『両親がプレゼントしてくれて』とか言ってしまって……。子どもの物は子どものためといったら聞こえがいいですが、私の中ではそうではなくて……。
また、子どもの成績が悪いと、教えたいというよりもイライラしてしまうんです。夫に注意してほしいと頼んでも、夫は子育てに無関心だからケンカが絶えません。最近は『勉強しろ』という言葉が口癖みたいになってきて、自分でゾッとしています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。