「もじ鉄」とは、駅の看板(駅名標)など鉄道に関する書体やデザインを愛する趣味のことである。『町の漢字看板を楽しむ(https://serai.jp/hobby/1198550)』の石川祐基さんが、新たに名付けたジャンルだ。

「鉄道の文字が好きになったきっかけは、高校時代に鉄道会社で駅員のアルバイトをしていたとき、ふとホームの文字が目に入り、どうしてこの書体なのかと気になりました」(石川さん)

その興味は全国の鉄道駅に広がり、数年かけて北海道から九州や沖縄まで201の路線を訪ね、駅名標などの写真を撮影。それらに解説を加え、447ページの大著『日本のもじ鉄』(三才ブックス)を完成させた。ここでは、石川さんが撮影した中から、特徴のある漢字を使った駅名標を紹介する。

高速道路を想わせる|漢字、ひらがな、欧文……記載された文字の書体がすべて異なる

阪神・新開地駅(兵庫県)。駅名にロゴ風の書体「ロゴG」を採用。柔らかくなりすぎないよう、かなの書体を変えてある。

太宰治ゆかりの地ならではの……|開放的な手書き

津軽鉄道・芦野公園駅(青森県)。絵手紙または和風酒場のメニューのような、自由さで記憶に残る駅名標だ。

名は体を表す|イラストの漢字書体

ひたちなか海浜鉄道・工機前駅(茨城県)。元は日立工機の従業員専用駅。工機のイメージを巧みに取り込んだ。

懐古な雰囲気|味わいある手書き

立山ケーブルカー・美女平駅(富山県)の年代物の駅名標。平の“ハ”は『康熙字典』にちなむ。

傾斜角度に合わせた|急峻感のある手書き

坂本ケーブル・ケーブル延暦寺駅(滋賀県)。車両もホームも斜めならば、駅名標も斜めに。

ひと目でわかる黄色で統一|誰にでもやさしく読みやすいユニバーサルデザインの文字

地下鉄・浅草駅(東京都)の出口案内。漢字はユニバーサルデザインのUD新ゴ、欧文はフルティガー。

●案内 石川祐基さん(いしかわ・ゆうき/グラフィックデザイナー)

鉄道サインと書体の図鑑『日本のもじ鉄』を刊行。町歩き中に珍しい書体があると、立ち止まり見入ってしまう。鉄道員になりたかったが、大学でデザインを学び、広告デザインなどを業務とする「デザイン急行」代表を務める。撮影協力/かっぱ橋装飾

取材・文/宇野正樹 撮影/藤田修平 写真提供/石川祐基

※この記事は『サライ』本誌2024年9月号より転載しました。

 

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