コロナウイルスの流行は経済の広い分野に影響を与えています。
特に不透明性を増しているのが、首都圏のマンション売却市場です。
コロナウイルスの影響のみならず、東京オリンピック延期の影響が不動産市場に与える影響が懸念されているからです。
タワマン人気に支えられてきた、首都圏のマンション価格の高騰は終焉を迎えるのでしょうか?
コロナに東京オリンピック、2021年東京のマンション市場はどうなる?
実は、2021年1月28日に国土交通省が発表した、『不動産価格指標( https://www.mlit.go.jp/common/001384397.pdf )』によると、マンションの売却価格は右肩上がりが続いています。(グラフ緑色。)
コロナウイルスの流行が始まった、2020年の4月頃は一時的な落ち込みが見られました。
しかし、2020年10月期には持ち直し、コロナウイルス流行前の水準に戻っています。
近年のタワーマンションブームに乗じて、コロナ禍以降も首都圏を中心にマンションの価格は高騰していると言えます。
しかしマンション価格の高騰は、「オリンピック景気」の影響による一時期の不動産バブルにすぎない物である可能性もあります。
オリンピックが終わると、マンション価格が暴落する可能性はどれほどあるのでしょうか?
ロンドンではオリンピック後も不動産価格が上昇している
上の図は、2012年にオリンピックのあったイギリスの住宅売却価格の平均値です。
オリンピックのあった2012年以降も上昇を続けていることが分かります。
イギリスの例から分かることは、オリンピックが終わった瞬間に住宅価格が下落することはなかったということです。
東京オリンピック後のマンション価格は微増か横ばい
東京オリンピックの開催が決まった頃、専門家達の間では「2020年の東京オリンピックまでマンション売却価格の相場は右肩上がりし、開催後は徐々に下がっていく」という節が有力でした。
実際に、東京不動産研究所の調査( https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2019/05/2d853ba9bd8bd66fb47cdc07f719e03f1.pdf )でも、新築マンション価格の相場は2020年から横ばい、2025年までは微減すると予想されていました。
しかし、「相続税の実質的な値上げに伴う資産としてのマンション需要の高まり」や「在宅ワークの一般化による住宅にかける資金の増加」により、予想当時よりもマンションの需要は上がっています。
とはいえ、今なら無条件にマンションが高く売れるというわけではありません。
コロナにオリンピックという不確定要素があるからこそ、マンション売却を考えている方は慎重に行動する必要があります。
自宅を売却した経験者の4割が後悔
上のグラフは、自宅を売却した人295人に「自宅の売却価格に満足していますか?」というアンケート調査を行った結果です。
39%の人は売却に満足していないと回答しています。
マンション売却は一生のうちにそう何度も経験することではないため、失敗がつきものなのです。
なるべくなら、高いをお金を出して購入した自宅マンションの売却は失敗を避けたいものです。
マンション売却の失敗を減らす、たった5つのコツ
マンション売却の失敗を減らすには、5つのコツを意識するようにしましょう。
(1)マンションの査定は必ず複数社に依頼する
(2)「高預かり」に注意
(3)値引きは「1割」が限度
(4)内覧の準備は念入りに行う
(5)売却後の流れを把握しておく
マンションの査定は必ず複数社に依頼する
マンション売却を売却する時、一番はじめに行うのは査定です。
この時、必ず複数の不動産会社に査定依頼をしましょう。
不動産会社の提示する査定額は「不動産の価値そのもの」ではなく、「その不動産会社で売却活動をした時に3か月以内に売れそうな価格」です。
そのため、不動産会社の状況や特徴によって査定額は数百万単位で変わります。
必ず複数社に見積もりをすることで、安すぎる価格で買い叩かれてしまう可能性を減らせます。
「高預かり」に注意する
複数の不動産会社に査定依頼をして、一番査定額が高い企業と契約をする際は注意が必要です。
数ある不動産会社の中には、意図的に高い査定額を伝え、仲介の機会を得ようとする不動産会社があります。
これは「高預かり」とよばれる不動産会社の営業手法です。
高預かりは、売り主からすれば資金計画が狂ってしまう可能性があります。
物件と価格が見合っていなければマンションは思うように売れず、最終的には相場より低い価格でしか売れない状態になりかねないからです。
このような失敗を避けるには、不動産会社に対して査定額の根拠を聞くことが大切です。
相場よりも高く売れる自信のある企業であれば、過去の売却事例など必ず根拠があります。
その根拠の説得感があるか否かで契約する会社を見極めましょう。
根拠を答えられなかったり、曖昧な理由しか教えてもらえないのであれば、その不動産会社に依頼するのは避けたほうが良いです。
値引きは「1割」が限度
マンションの売却価格を決めたとして、その価格でマンションが売れるとは限りません。
中古マンションの取引時には、「値引き交渉」が行われることがあります。
上の図は、東日本不動産流通機構の調査をもとに作成した、成約価格と売却価格の差のグラフです。
売り出し価格と比べると、マンションが実際に売れた価格は1割ほど安くなることが分かります。
値引きは査定額の1割程度が限度と考えておきましょう。
内覧の準備は念入りに行う
購入検討者が希望すれば、マンションの状態を実際に見て購入判断をするために内覧が行われます。
内覧時の印象は購入の意思決定を大きく左右するので、内覧対応はとても大切です。
具体的には以下のようなことに気をつけて、できるだけ物件に良い印象を持ってもらえるようにしましょう。
【内覧時に行うべきこと】
・家を清掃する(可能であればハウスクリーニングを行う)
・玄関、バルコニー、水回りは特に力を入れて清掃する
・物は必要最低限まで減らして部屋を広く見せる
・窓を開けて風通しを良くする
・中の電気をつけて明るい印象を与える
・内覧者に「居住者として良いと感じる点」を伝える
また、物件に好印象を持ってもらうことで、値下げ交渉を受けることなく売却できる可能性が高まります。
売却後の流れを把握しておく
やっとのことでマンションに買い手がつき、引き渡しも完了して「マンションの売却活動終了!」と気を抜いてしまう方は多いです。
しかし、実際にはマンションの売却が完了した後も管理組合への連絡や、確定申告などのタスクが残っています。
マンション売却という大きなイベントが終了した後はつい後の手続きを忘れがちなので、マンションの売出し中から「引き渡し後にやるべきこと」はしっかり確認すべきです。
特にマンションの場合は「管理組合への連絡」という独自の手続きが必要なので、頭に入れておきましょう。
愛着のある我が家だからこそ、売却には万全を
マンションは戸建てに比べると市場流動性が高いと言われています。
確かに、一生をその家で暮らそうと考える人が多い戸建てに比べ、住み替えを行う前提でマンションを購入する人は多いでしょう。
家族との思い出が詰まった愛着のある我が家であることには変わりはありません。
マンションの売却を行う際は、万全の準備を期して行いたいものです。