「責任をとった」かたちだけの結婚。出産前後の不信感が今も消えない
旦那さまとは付き合って8か月で入籍。結婚するきっかけは夏子さんの妊娠でした。妊娠を巡っては色々複雑な感情があったと振り返ります。
「付き合っていた時も夫は全然落ち着かなくて、何度か浮気をされたことがあります。それでも別れなかったのは、私がとても好きだったから。別れたほうがいいのかもしれないなって思っていた時に妊娠がわかって、結婚する運命なんだって勘違いしちゃって。夫とは何度も話し合って、子どもを諦める方向に流れつつあった話を私が押し切って、結婚することになったんです。夫からしたら私と結婚したいというより、責任をとるしかなかったという気持ちだったと思います」
当時旦那さまの年齢は30歳で経済力も十分、子どもを産んで結婚するという選択にお互いの両親からの反対もなかったとか。夏子さんは出産直前まで仕事を続けていてそれが良くなかったのか、体調を崩して仕事を退職することに。そんな姿を見ても旦那さまは仕事を優先していたそうで……。
「お互いの両親には挨拶だけ行きました。授かり婚とか言われて歓迎ムードになるよりも前だったからやや後ろめたい空気にはなりましたが、まぁ好きにしなさいと。お互いもういい大人なので子どもをおろして結婚しないとなったほうが揉めていたでしょうね。
仕事は続けたかったんですが、切迫流産で入院することになってしまって……。子どもは無事生まれて来てくれたんですが、その前後も夫は心配こそしてくるものの、結局口だけ。仕事を理由にお見舞いも数えるほどしか来てくれませんでした。その間の身の回りのことは私の母や妹がしてくれて。その時から私と私の家族はずっと夫に対して不信感があるんです。今でも夫婦生活を続けている理由は子どもがいるから、それだけです」
出産前後で芽生えた夫への不信感から夫婦生活は殺伐としたものに。夫がメンタル不調を訴えてきた今も親身にはなれなくて……。 【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。