立てかけた1本のほうきのような佇まい。ハンディタイプにもなる。約4時間で満充電。運転時間は標準で30分、強で10分。吸引はサイクロン方式(ゴミはカップにたまる)。
幅30×奥行き16.5×高さ124㎝、約3.1㎏。5万4000円。
問い合わせ:バルミューダ 電話:0120・686・717

非力、重いといったコードレス掃除機の弱点が、各メーカーから発売される新製品により克服されつつある。これまでは補助的な役割だったコードレス機が、家庭用掃除機の主流になろうとしている。
『バルミューダ ザ・クリーナー』もそんな製品。本品はそこに「掃除の仕草」ともいうべき機能を盛り込んだ。

たとえば、人はほうきで掃除をするときに、どのような動作をするのか考えてみる。効率よく掃き出すために、両手で持ちできるだけ大きく動かそうとするだろう。狭い隙間には、ほうきの先を縦にしてゴミをかき出す。

そんなほうきのような動作で掃除ができるのが本品だ。無論、掃除機であればほうきの何倍も重い。そこで、ヘッドの回転ブラシの動きを工夫し、床との摩擦を低減させることで軽い操作感を実現した。なるほど、宣伝文句にあるように“浮いている”ような操作感だ。ヘッド面の車輪は、動きに追従するので滑るように移動する。

使ってみると、腕や手首の動きに合わせて、つまり掃除をしたいところに向けて、ヘッドを自在に動かすことができる。上の写真のように、ほうきの握り方で左右に振りながらの掃除も可能だ。掃除機でこの感覚は新しい。隙間や壁際なども自然に沿っていくので、腕の延長に近い感覚で掃除機が動いてくれる。

掃除のしやすさに着目

掃除というと、部屋の隅々まできれいにしなくてはならないという意識が働くが、ほうきの時代には「四角な座敷を丸く掃く」という言葉があった。仕事を中途半端に済ませてしまう喩えであるが、毎日の掃除はあまり気張らず丸く掃けばよいではないか。

本品は、そんな気楽な掃除の提案をしている。パワーだけではない、掃除のしやすさに着目したユニークな掃除機である。

ヘッド面。ふたつのブラシをそれぞれ内側に回転させ床面との摩擦を低減し、軽い操作感を実現。角と底面のローラーにより全方向へ動かせる。

取材・文/宇野正樹 撮影/植野 淳 スタイリング/有馬ヨシノ

※この記事は『サライ』本誌2021年2月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。

 

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