学年誌記事で振り返る昭和のニュースと流行!
1922年(大正11年)、当時の出版界では初となる学年別学習雑誌「小学五年生」「小学六年生」が小学館から創刊された。翌年には「小学四年生」、1924年には、後に「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」となる「セウガク一年生」「セウガク二年生」「せうがく三年生」が相次いで創刊され、小学生を対象とした学年別の総合雑誌「学年誌」のラインナップが誕生した。
子どものための総合情報誌として、ニュース、イベント、芸能、スポーツ、流行、ファッション、ホビーなど、あらゆる情報を発信し続けた「学年誌」。そんな「学年誌」が一番輝いていた昭和の膨大なバックナンバーから、時代ごと、テーマごとに記事を厳選して構成した『学年誌が伝えた子ども文化史「昭和40~49年編」「昭和50~64年編」「昭和30~39年編 」』(小学館)の3冊が刊行された。本記事はその中から、サライ読者にグッとくるトピックスを厳選してお届けする!
* * *
三億円事件(昭和43年・1968年)
『学年誌が伝えた子ども文化史(昭和40~49年編)より
語り継がれる未解決事件
日本犯罪史において最も有名な犯罪のひとつ。’75年に公訴時効が成立し、’88年に民事時効が成立。
劇場型犯罪でありながら未解決に終わったこの事件、これまで小説やドラマ、映画など多くの作品のモチーフになっている。
モンタージュ写真も事件とともに有名に
わずか数分のうちに鮮やかに奪っていった手口、現在の貨幣価値に換算すると15億円とも30億円ともいわれた破格の窃盗金額に、日本中が揺れた。容疑者リストにあがったのは11万人、捜査に携わった警察官は延べ17万人と、空前絶後の大捜査が繰り広げられた。捜査が行われるなか、犯人と見立てられた少年が事件の5日後に自殺するなど、いたましい出来事もあった。
一方で窃盗金は保険により補てんされ、保険会社も再保険をかけていたこともあり、国内での直接の金銭的損失がなく、また犯行時、誰も暴力などの被害にあっていないため、憎しみのない強盗ともいわれていた。
発生時の衝撃は大きく、日本中がこの話題でもちきりで、学年誌でも緊迫感あふれるドキュメンタリータッチの記事で概要を伝えている。
誰もが犯行の詳細を知っているのに真犯人、事件の謎が明らかにされないということもあり、当時から小説や映画、ドラマ、まんがなどで、実録からフィクション、パロディ、オマージュまで、多くの作品が作られている。
また、この事件を語るうえで欠かせないモンタージュ写真は、あまりに有名だが、実はねつ造だったという説もある。単独犯とも複数犯とも思える犯行手口、多かったわりに決め手に欠けた遺留品、あがっては消える真犯人候補…と、ミステリー要素も多く、いつまでも人の心を惹きつける事件でもある。
※本記事は『学年誌が伝えた子ども文化史 昭和40~49年編』より抜粋・転載したものです。
[ワンダーライフスペシャル]
学年誌が伝えた子ども文化史●昭和40~49年編 定価本体1200円+税(ISBN 9784091066107)
●昭和50~64年編 定価本体1200円+税(ISBN 9784091066152)
●昭和30~39年編 定価本体1200円+税(ISBN 9784091066183)