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60過ぎてもボールを追いかけたい!いまシニアサッカーチームが熱い

文/鈴木拓也

今、シニアサッカーが熱い。公益社団法人日本サッカー協会に登録するシニアサッカーチームの登録数は、2000年には196チームであったのが、2017年には1,067チームを数えるまでに増加。選手数でいえば、2017年は約3.3万人。前年比8.1%増という盛り上がりで、伸び悩んでいる10代のカテゴリーとは対照的だ。

これは、少子高齢化がすすむ日本社会を反映したせいもあるが、昨今のシニアは、肉体的にも精神的にも若々しいこともある。何かにつけ「もう年だから」とは言わないのが、今どきのシニアだ。

アマチュアサッカーで「シニア」といえば、40歳以降を指す。一般的に、40代、50代、60代、70代~とクラス分けがなされ、各クラスでチーム編成からトーナメント試合まで行われるのが普通だ。

各市には、たいがい幾つかのシニアサッカーチームが存在するが、日本サッカー協会に登録して本格的に全国大会出場を目指すところもあれば、レクリエーションの一環として楽しんでやるチームもある。草の根的チームも含めれば、かなりの人たちがサッカーを楽しんでいる。

とはいえ、シニアサッカーは世間的にはまだまだマイナー。この記事を読んで、その存在を知った方が大多数かもしれない。そこでまず、筆者の地元函館市のシニアサッカーの現況にふれ、どういった世界なのか垣間見ることにしよう。

戦前・戦後生まれが健在の函館シニアサッカー

「函館四十雀サッカー倶楽部」は、比較的勝負にこだわる気風を持った、創立50年を超える由緒あるチーム。2016年度の「シニア(70歳以上)サッカーフェスティバル」でブロック優勝を果たすなど実績も多い、古豪揃いの名門だ。

函館四十雀サッカー倶楽部の 60代メンバーたち(写真:日本サッカー協会)

メンバーは、昭和1桁台生まれの最年長から昭和50年代生まれの「若手」まで幅広く、戦前・戦後生まれの層が厚いのが特徴。つまり、還暦過ぎてもボールを追いかける、元気なおじさんが多い。

函館四十雀は、シニアリーグなどへの試合参加とは別に、定期的に集まって練習も行う。まずは、函館大学のグラウンドを借りた合同練習があるが、こちらは50代以降のメンバーが中心。それとは別に、40代の「若手」がメインのフットサル形式の練習があり、その様子を見せてもらった。

場所は、隣接する北斗市の小学校体育館。平日夜に仕事帰りのメンバーが、三々五々集まってくる。最終的に15人ほどになって、しばしのウォームアップののち、2つに分かれてフットサルが始まる。

函館四十雀の練習の様子

「仕事帰りの40代」という言葉から受ける、ややくたびれたイメージはここには存在しない。終始、ボールをめぐっての激しいやりとりが展開され、誰もが敏捷で軽快な動きを見せる。思わぬラフプレーがあっても険悪にならず、誰かがファインプレーをすれば皆の笑みがこぼれる。牧歌的な雰囲気はないが、和気あいあいとした空気は感じられるのが印象的だった。

アグレッシブなチームばかりではない

留意したいのは、全国どこでも函館四十雀のようなアグレッシブなプレーをするチームばかりではないという点。チームメンバーの1人で、フットサル用品店を営む尾森儀明さん(42)によれば、「ここの練習に来る人は、みな少年時代からサッカーを継続的に続けてきた人たち」。だから、ちょっとサッカーをかじった程度の門外漢からすれば、敷居の高さを感じる。

しかし、全国を見渡せば、どちらかといえば「ゆるり」とした、言ってみれば年相応のプレーをしているところが多い。より正確に言えば、リーグ戦で勝ちあがることを目指す意識の高いチームもあれば、勝敗にこだわらず健康維持の一環として取り組んでいるチームもあり、それが同じ市内で併存しているパターンも少なくない。

もし、「自分もシニアサッカーを始めてみようか」と興味を持たれたら、「高校時代はサッカー部のエースストライカーだった」というような過去の栄光でなく、今の体力や走力といったフィジカル面での実力が、同年代の中でどのあたりに位置するのかを、客観的に見つめることが大事。試合中に心筋梗塞で倒れ、救急車で病院に担ぎ込まれた人もいるそうで、誰しも加齢によって衰えるという事実を冷静に受け止める必要がある。

シニアサッカーにチャレンジしよう…でも、その前に

シニアサッカーをテーマに書かれた『40歳からうまくなるサッカー』(中小路徹/講談社)には、終わりの2章で健康面の注意ポイントが幾つか述べてある。

なかでも最も重要なのは、長いブランクを経てサッカーを再開するなら、「準備運動が大事」という点。ここで言う「準備運動」とは、チームに加わる「何週間も前から、サッカーができるように時間をかけて体を戻す準備」。ストレッチやジョギングから始めて、昔の5割程度に体力が戻ってはじめて、シニアサッカーへの扉が開かれる…というくらいの心づもりでのぞみたい。

さらに本書では、サッカー自体はシニアになってからというビギナーについては、以下4つの留意点を提示している。

・最初は全力疾走しない(心筋梗塞防止)。
・サッカーにおける体の動かし方をマスターする(どのように体を動かすことが多いかは、ポジションによって異なる)。
・同じレベルの仲間がいるチームでやる。
・ビギナーに優しいチームでやる。

最後の2つの留意点については、練習風景を見学し、責任者にざっくばらんに話をきいてみることで、かなり見極めがつく。また、地元のシニアサッカークラブの活動が分かるような、公式サイトやメンバーのブログを読むことでも、ある程度のことは把握できる。

事前に必要な用具類は、前述の尾森さんによれば、「まずは7,000円ほどのシューズがあればOK」とのことで、こちらについてはハードルは意外と低い。ただし、チームに所属するとなると、それなりの年会費がかかるので、幾らになるかあらかじめ聞いておくとよいだろう。

シニアの健康管理やアンチエイジングといえば、どうしてもウォーキングや室内体操といった、おとなしめの運動に目がいきがちだが、サッカーというアクティブな方向性もある。特に昔取った杵柄でサッカーのことが多少詳しい方なら、チャレンジしてみてはいかがだろうか。

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

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