新着記事

最終的に色付けをしてできあがり ユネスコの無形文化遺産、スペイン・バレンシアの「火祭り」|火祭りアーティストとはいったい何? クラシックなデザインに足を止める人が多く、常にギャラリーが絶えない初代クラウン(1955年~) 初代から最新まで、歴代クラウン15台がショッピングストリートの石畳スペースに一挙集結! 元町商店街とクラウンがコラボした「クラウンDay at Motomachi」![PR] 【ビジネスの極意】ホリエモンの宇宙事業に学ぶ、仕事のモチベーションの高め方 【ビジネスの極意】ホリエモンの宇宙事業に学ぶ、仕事のモチベーションの高め方 膝や腰の痛み、原因は足の形かも 甲高や扁平だと、なぜひざや腰に負担がかかるのか?|「足の形」が原因の膝や腰の痛み メイドイン京都の小さなおりん|澄んだ音色が心地よい手のひらサイズのおりんセット 黒澤明『用心棒』 観るたびに面白く、見飽きない。どんなハリウッド映画も吹き飛ばすほどの痛快さ|黒澤明『用心棒』【面白すぎる日本映画 第28回】 日本リメイク版『24』ジャック・バウアー役を演じてほしい俳優ランキング|3位 は 岡田准一 、2位は ディーン・フジオカ 、1位は? 日本リメイク版『24』ジャック・バウアーを演じてほしい俳優ランキング|3位 は 岡田准一 、2位は ディーン・フジオカ 、1位は? 被災時に預貯金などを引き出すには【被災したときに役立つ生活再建のための知識】 被災時に預貯金などを引き出すには【被災したときに役立つ生活再建のための知識】 出雲黒柿の香筒|柿の古木が生む超希少な材を使った伝統の逸品 今もっともアツい動物行動学者、入交眞巳先生の新刊は愛猫家必読のバイブル【にゃんこサライ特別編】

サライ本誌最新号

住宅特集アンケート実施中です!

別冊付録「大人の逸品カタログ」商品はこちらから

ピックアップ記事

  1. クラシックなデザインに足を止める人が多く、常にギャラリーが絶えない初代クラウン(1955年~)

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

趣味・教養

「秋立つや一巻の書の読み残し」(夏目漱石)【漱石と明治人のことば365】

sousekiKotobaBanner2

文/矢島裕紀彦

今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「秋立つや一巻の書の読み残し」
--夏目漱石

その日の朝、漱石はいつものように、自宅書斎の紫檀の文机に向かった。午前中のうちに朝日新聞に連載進行中の『明暗』1回分の執筆を終えるのが、この頃の漱石の日課だった。

ところが、1文字も書かぬうちに倒れた。家政婦のひとりが昼食前に服用する持薬をもっていくと、机の前の絨毯の上にうつ伏せに倒れている漱石を発見したのである。漱石は、胃潰瘍の発作にじっと耐えていたのだった。

駆けつけた鏡子夫人が漱石の傍らで言った。

「具合が悪いようでしたら床をとりましょうか?」

漱石は「ああ」と返事をして、こうつづけた。

「人間もなんだな、死ぬなんてことは何でもないもんだな。俺はこうやって苦しんでいながら辞世を考えたよ」

縁起でもないと思った鏡子はその言葉にとりあわず、床を延べ漱石を寝かせた。机の上の原稿用紙はまっさらなままで、右肩に「189 」という数字だけが書かれていた。前日に『明暗』第188 回の原稿を書き上げ、次の原稿用紙に心覚えの数字を記しておいたものであった。時に、大正5年(1916)11月26日。この病臥が、そのまま漱石の臨終につながっていく。

それから2週間後の12月9日の夕刻、家族や門弟、主治医に看取られ漱石は逝く。満年齢で50歳に2か月ほど足りない生涯だった。

これより3か月ほど前、大正5年(1916)9月2日付で、漱石は芥川龍之介あてに一通の手紙を書き送っている。芥川の小説『芋粥』を読んだ感想を記したもので、全体の出来栄えを称讃しながらも、あえて細かな難点を指摘している。「この批評は君の参考の為です。僕自身を標準にする訳ではありません。自分の事は棚へ上げて君のために(未来の)一言するのです」とある通り、芥川の才能の素晴らしさを認め、その将来に大きな期待を寄せるが故の批評であった。

そして、その手紙の末尾に綴り込んだのが掲出の句。そこには、鏡子が聞き取ることのなかった漱石の辞世に似た味わいが、すでにして現われている。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

【読者のみなさまへ】
これまで1年を通して毎日お届けしてきた『漱石と明治人のことば』は、今回をもって最終回となります。長らくのご愛読、ありがとうございました。ご感想や筆者・矢島裕紀彦さんへのメッセージなど、ぜひ下記へメールにてお送りいただければ幸いです。宛先メールアドレスは serai@shogakukan.co.jp です。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 「年の暮れには追憶を、年の初めには希望を」(幸田露伴)【漱石と明…
  2. 「見果てねど はた見あきねど我が夢は 四十余年の夢多き日々」(滝…
  3. 「子供のために一流の文学者が進んで執筆しなければ嘘だ」(鈴木三重…
  4. 最晩年の谷崎潤一郎が愛する風景を詠んだ歌【漱石と明治人のことば3…
  5. 「世の中は根気の前に頭を下げる事を知っています」(夏目漱石)【漱…
PAGE TOP