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「父と慕ってくれるのはいいが、僕はこれでも青年だぜ」(夏目漱石)【漱石と明治人のことば169】

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今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「僕をおとっさんにするのはいいが、そんな大きなむす子があると
思うと落ちついて騒げない。僕はこれでも青年だぜ」
--夏目漱石

夏目漱石は多くの門弟を持ち、非常によく面倒をみた。

悩みを抱える者にさまざまなアドバイスを与え、人や仕事を紹介したり、本を貸したり、金銭を用立ててやることもあった。父のように慕う者が出てくるのも自然のことだったろう。

上に掲げたのは、明治39年(1906)12月22日付で、漱石が門弟の小宮豊隆あてに出した手紙の中の一節。さらに、つづけて、漱石はこう綴る。

「中々若いんだからおとっさんには向かない。兄さんにも向かない。やっぱり先生にして友達なるものだね」

小宮が漱石を「本当の父親のように慕っている」と手紙で訴えてきたのに対し、その気持ちを引き受けながらも、自分はまだまだ若い気で門弟たちと接している、大学生の息子を持つほど老け込んではいないと、やんわり言い聞かせているのである。

このとき、漱石は満年齢で39歳。一方の小宮は22歳。確かに息子としては些か大きい。漱石の長女の筆子は明治32年(1899)生まれで当時まだ7歳だし、長男の純一が生まれるのはこの翌年のことだ。

同じ手紙の中に、漱石はこうも書いている。

「君は女の手に生長したからそんな心細い事ばかり云う。段々自分で心細くしてしまうと始終には世の中がいやになっていけない」

小宮は早くに父親を亡くしていたため、余計に父親のような存在に対して憧れが強かったのかもしれない。そんな生い立ちから、つい心細いことを言いたくなる気持ちもわかるが、それが高じると、厭世観が募ってよくないよ、と漱石は語りかけている。おとっさんではないと言いながら、なんだか、おとっさんのような心持ちで門下生を心配する漱石なのである。

今日、6月18日は「父の日」。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

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